「食べる」ということの原点に。「KURKKU FIELDS」で体験できる、おいしいサステナブルとは?
かつて東京や大阪のレストランで経験を積んできた山名シェフ。都会のレストランとの違いは多くあれど「僕はこの場所で、野菜、養鶏、酪農、食の職人をはじめ、その道のプロたちに囲まれて料理づくりに打ち込むことができます。必然的に料理へのアプローチが、ポジティブに変わりました」と話す。
コースの始まりに登場する「白い宝石」は、水牛モッツァレッラをトマトのエキスに浮かべたスペシャリテ。チーズ職人の竹島さんからは「モッツァレッラは液体の中につけておかないと傷みやすいから」とのアドバイスがあり、トマトと昆布水のエキスからなるスープにそっと入れて客の前へ。
その水牛モッツァレッラは鮮度の良さが圧倒的! 心地よい弾力に続き、水牛ミルクの清々しく甘い香りに包まれる。また、トマトの旨みを抽出したスープ、バジルオイルと共に味わえば、口の中ではカプレーゼが完成。心が洗われるような名作だ。
「優しさに包まれたなら」という名のパスタも、「KURKKU FIELDS」の世界観を見事に表現した一皿。特大のラビオリにスッとナイフを入れると、産みたての卵(卵黄)のエキスが溢れ出る! ラビオリは噛むほどに味わい深く、まろやかな黄身の清々しい風味が共鳴。親鶏の骨からとっただしをベースにしたソース、セージバターソースが奏でる、味わいの立体感も楽しい。
「小麦を感じられるパスタを」と、登場した手打ちパスタにも物語がある。「イマフン」の全粒粉と、場内で収穫した全粒粉などを配合。さらに小麦を自家製粉する際に出る、小麦ふすまも捨てずに使うのだ。
小麦色をしたパスタには、水牛のチーズを作る際に出るホエーやバターなどからなるソースを絡めて。さらに、南房総の沿岸部で水揚げされるキビレなどの未利用魚の卵巣を塩漬けにした、自家製カラスミ風を削りかけ、富津の海苔と花山椒を添えた。
噛むほどに、小麦の質朴な味わいがじわりじわりと押し寄せる。続いて、卵巣塩漬けの優しい塩味と、滋味深いソースの味わいが広がった。