外に放置され『存在すら忘れ去られた犬』数ヶ月後の変化に…「涙が出ます」「寂しかったんだな」「幸せになってほしい」
「外で飼育している犬が取り残されるので、どうしたらいいのだろうか?」この1本の電話がなければ、ゆうちゃんという犬の存在すらわかりませんでした。 【実際の写真9枚】数ヶ月後の様子(@teamoppo_comさんより提供) 飼い主さんがご高齢となり認知症を発症。施設に入るため、ゆうちゃんは取り残されることになります。電話の場所に行ってみると、ゆうちゃんは想像を上回るほどひどい状態でした。認知症は、ご飯をあげたこと、水をあげたこと、さらにこの犬の存在すら忘れてしまうのです。 こうした状況は現在少なくはありません。今回は、犬猫の保護活動をしている「おっぽの会(@teamoppo_com)」さんに話を聞きました。
存在すら忘れられてしまったゆうちゃん
ある日、おっぽの会と連携している地域包括センターから電話がありました。 それは担当しているご高齢の夫婦のことで、奥さんがコロナで入院していたが、認知症があるため退院後はそのまま施設へ入所することに。旦那さんもコロナになり認知機能が低下していることから、奥さんと同じ施設への入所を希望したのです。そのため、夫婦が飼っている犬だけが取り残され、飼育ができなくなるためどうしたらよいのか…という依頼でした。 そこで、その日いたスタッフさんがどのような状況かを確認するため、ご高齢の夫婦の自宅に伺うことに。しかし、そこにいた犬のゆうちゃんの状態はひどいものでした。 飼い主さんも覚えていないそうですが、ゆうちゃんはおよそ10~14歳くらい。ドロドロの目ヤニで覆われた眼は1点を見ているだけだったといいます。また、オオカミのように爪が伸びており、歩行障害が出るほどで歩くのも痛そうでした。 「爪が肉球に刺さって痛かったんだと思います」とスタッフさんは話します。またそれだけではなく、かさぶただらけの皮膚炎の体からはフケがあふれ、ノミやダニもたくさんついていました。ひどく熱を持った足は痛くて痒くてただれて炎症を起こしており、皮膚自体は象のように硬くなっていたのです。 「毛も抜け落ちていて、見てすぐに衛生的でないと思いました。皮膚にヨレも見られたので、経験上から脱水も起こしているのではと考えました」と話すスタッフさん。 外に置かれていた犬小屋スペースには、毛布もなく暑さ対策もしておらず、餌入れや水入れには水滴や食べカスもついていませんでした。 「数日間飲んだり食べたりしていないのでは?」と疑問に感じたスタッフさんは、飼い主さんへ尋ねましたが覚えてないとのことでした。 スタッフさんが夫婦の自宅に伺った当日は台風も来ており、湿度と暑さのため糞尿の匂いであふれていた…といいます。ゆうちゃんは外敵から身を守るような警戒もなく、ただただ静かに無表情で立っていたそうです。 管理をされている飼育ではないと判断したスタッフさんは、ゆうちゃんを保護することに。そのときのゆうちゃんについて「ボロボロの雑巾のような子で感情がなく、すべてを諦めているような顔をしていました」と話します。 ゆうちゃんを保護したおっぽの会では、まず汚れた体を洗い、ノミとダニの駆除をしました。また「爪は神経にも伸びていて、肉球にも爪が刺さり、切るのが大変だった記憶があります」とスタッフさん。 保護当日のゆうちゃんは、スタッフさんに抱かれて頭を撫でてもらっていました。 保護の様子を発信しているInstagramには「涙が出ます」「寂しかったんだな」「幸せになってほしい」というコメントが寄せられていました。 その後、病院を受診し、血液検査や心音、腹部エコー、レントゲン、フィラリア検査、検便などの初期検査をしました。その結果、ゆうちゃんは脱水と皮膚の炎症がひどいことから大事をとり、数日間入院し治療。退院後1ヶ月半ほど投薬と、毎日の薬浴などをしたといいます。