「このままじゃ、私も子どもも危険かも」怒涛の「DVラッシュ」でもう限界! モラハラ・暴力・経済DVを乗り越えて【体験談】
言っていることが次々変わる
佳奈さんはしょっちゅう夫から怒鳴られていました。些細な家事の手抜きを100倍くらい大袈裟に取り沙汰されたり、前はいいと言っていたことを数日後にはダメだと言われたりしたそうです。 「私は司法書士になるため受験勉強をしていますが、最初にそれを勧めたのは夫でした。 『お前は法学部を出ているから、司法書士になって俺を金銭的に楽にしてくれるのはどうだ?』と言ったのです。 私も面白そうだと思い、勉強を始めました。楽しくて、毎日家事と育児の合間を縫って頑張りました。 すると、『お前は勉強ばかりしていて、家事がちゃんとできていない。いい加減にしろ、勉強をやめろ』と言い出したのです。 結婚当初は、「君は外に働きに行かないで、俺のことを支えてくれたらいい」と言っていたのに、舌の根も乾かぬうちに、「なんでお前は外で働かない。この野郎、お前なんか役立たずだ!」とキレたこともあります。」 妊娠中でさえ、『パートで働くのはいいけど、家事がおろそかになっている』と説教するということは日常茶飯事。地雷がどこにあるのか分からず、佳奈さんはいつも緊張していたと言います。
反撃
佳奈さんも一方的にやられっぱなしだったわけではありません。 「別居する2年くらい前のことです。モラハラをする相手は黙っていては調子に乗る、こちらもガツンとやらないと、と思って怒鳴り返したんです。すると、夫がひるんだので、ある程度の制圧はできることが分かりました。この戦法で1年くらいは平和だったんです。 でも、誰かに怒鳴るのは好きじゃないし、そういう苦労をしてまで一緒にいる相手ではないと思いました。 彼の身の回りの世話をしている時間ももったいない。そんな時間があったら、自分や子どものために使いたい、一緒にいる価値がない。全く無駄な労力だと思い、制圧するのをやめました。」 しかし、大声をあげて物を投げる派手な暴れ方、子どもの泣き声。佳奈さん一家のただごとではない様子に、誰も気がつかなかったのでしょうか? 当時、一家は賃貸の戸建てに住んでいたそうです。家の周りは倉庫や工業地帯に囲まれていて、隣の家は離れていました。夜になると人通りもなく、不審な物音がしても誰にも知られることはありませんでした。佳奈さんは、「誰も気づいてくれなかった。場所が悪かった」と言います。 日々、夫から人格否定されるような暮らしをしていた佳奈さん。ひどい経済DVにも苦しんでいました。 つづきの【後編】では、経済DV、そして夫のもとからの“昼逃げ”、その後の明るい兆しについてお話しします。
ライター/渡辺 陽