「このままじゃ、私も子どもも危険かも」怒涛の「DVラッシュ」でもう限界! モラハラ・暴力・経済DVを乗り越えて【体験談】
脱衣所の手すりに頭をぶつけていた夫
結婚して一緒に暮らし始めてまもなく、佳奈さんは、ある現場を目撃して驚きました。 「何か異様な物音がしたので脱衣所に行ってみたのですが、そこに付いている手すりに何度も頭を打ちつけて、『なんだこのやろう!』と怒っているんです。理性を失ったかのように何度も打ちつけるものですから、壁に穴が開いてしまいました。 その様子を見て、もしかしたら発達障害か何かなのかもしれないと思って……。 発達障害者支援センターに電話で相談したら、いくつか病院を紹介してくれました。」 佳奈さんは「そんなにキレるのは何か問題があるからかもしれない。診察してもらおう」と真さんに提案してみたそうです。すると意外にもすんなり、「そうだな、行ってみるか」と応じてくれたのだとか。 今まで、ついカッとなってキレたことで自分から離れていった人が何人かいて、自身でも「俺は沸点が低い」と気にしていたようで、提案を受け入れてくれたようです。 その後の診察や検査の結果、ADHDと自閉症スペクトラム症だと診断されました。 「夫は母親に虐待されて育ってきました。10歳の時にお母さんは癌で亡くなったのですが、その当時のことを『せいせいした』と言っていたくらいです。虐待の経験が、今の夫に何か影響を与えているのかもしれないと思っていました。 だからこそ診断がおりた時、夫が困っているのだから一緒に力を合わせて助け合っていこうと思ったんです。 夫はそんなこちらの気持ちも知らず、怒りにまかせて日常的に『お前は家事ができない』『何をやらせてもだめだ』と私にあたってきました。辛かったですが、それでも頑張っていました。」 やがて長女が生まれ、佳奈さんは、真さんに怒鳴られても我慢して暮らしていました。 しかし、ある時「これはダメだ、もうついていけない」と思う事件が起こります。 「娘が3歳の時のことです。夫が娘を抱っこしていたのですが、駄々をこねたらアスファルトの上にポイっと投げたのです。 これはおかしいと思って、市役所の女性相談の人に相談に行ったんです。 担当者は、『離れた方がいい。あなたの旦那さんはもう治らないから』と言いました。 そうは言われても、もう結婚して7、8年経っていたので、離れられないという思いもありました。」