石井采配がズバリで首位追撃…楽天がノーノーにあと5アウトの岸&2年ぶり抜擢オコエの先制打で後半開幕戦を白星発進!
「球数的にもちょうどよかったね、と(言われました)」 中断前の最後の一戦だった7月14日のソフトバンク戦でも岸は先発を託され、6回2失点で勝ち投手になっている。東京五輪をはさんで“連投”を託される形となった背景には、6月以降で先発した5試合すべてで6イニング以上を投げて、なおかつ失点および自責点を2点以下に抑えてきた安定感に対する評価があったからだろう。 もっとも、立ち上がりは不安の方がはるかに上回っていた。二死から3番・森友哉、4番・中村剛也に連続四球を与えた場面の心境を、岸はこう振り返っている。 「初回はどうなるかと思って、自分でもヒヤヒヤしていました」 通算2000本安打まで残り15本に迫っている37歳のベテラン、栗山巧を左打席に迎えたピンチ。7月に巨人から金銭トレードで電撃加入し、西武の最終年だった2016シーズン以来となる再会を果たした恋女房、炭谷銀仁朗のリードがさえわたった。 まず外角への127kmのチェンジアップで空振りを奪うと、続く3球は内角の高低へ、すべてギリギリのコースを攻めてカウントを2-2とする。迎えた5球目。一転して外角ぎりぎりへ投げ込まれた145kmの直球を、栗山はぼう然と見送るしかなかった。 「次の回からしっかりと修正できて、7回までいけたと思います。(8回は)本当に疲れていたので、何とか投げきりたかったんですけど、まあしょうがないですね」 こう振り返った岸は、2回以降は140km台の直球と120km台のチェンジアップやスライダー、110km台とさらに遅いカーブで西武打線を翻弄した。たとえばチーム最多の13本塁打を放っている6番・山川穂高に対しては第1打席で直球主体、第2打席以降は変化球と意図的に偏った配球で攻めて、すべて三振に仕留めている。 「立ち上がりの岸を見た感じでは、今日はよくないな、と感じたんだけどね」 つけいる隙があると見た西武の辻発彦監督は、2回以降は別人のように立ち直った岸だけでなく、西武を熟知する炭谷が見せた、左打者には内角の直球を、右打者には代名詞でもある落差の大きなカーブを効果的に使うリードに脱帽するしかなかった。 「もうちょっと(狙い球を)徹底しなきゃいけなかったけど、やっぱり緩急とコントロールのよさだよね。上手くバッテリーにやられたと思います」 石井監督による打線のてこ入れも奏功した。プロ5年目で初めて一軍戦出場がなかった昨シーズンに続いて、今シーズンも出遅れていたオコエを7番に抜擢。期待に応えるように、2回無死二塁の先制チャンスでセンター前へタイムリーヒットを放った。 西武の先発右腕、松本航が投じたカーブや直球をしぶとくファウルし、低目のきわどいボールを見逃す。フルカウントからの7球目。やや甘く入ってきた123kmのスライダーに逆らわず、ミートに徹して二塁走者の茂木栄五郎を迎え入れた。