第165回直木賞受賞会見(全文)澤田瞳子さん「悲しいことがあっても、あ、これは書けると」
作家の業を自身に感じることは
ニコニコ動画:よろしくお願いします。 澤田:よろしくお願いします。 司会:ちょっとお待ちください。 ニコニコ動画:あ、よろしいでしょうか。ご受賞おめでとうございます。ニコニコ動画の高畑と申します。ニコニコ動画はご存じでしょうか。 澤田:はい、もちろんです。 ニコニコ動画:はい。ありがとうございます。では、ユーザーの質問を代読いたします。東京都40代、女性の方からの質問です。河鍋暁斎が、妻が亡くなるときに、死に顔を描写して幽霊画に役立てたという短い記述が印象に残りました。ご自身でも、お母さまの澤田ふじ子さまも、時代小説家であり、作家ですが、暁斎のような死に顔を描写するような、作家の業みたいなものをご自身に感じることはありますか。 澤田:それ、私自身の作家の業ということでしょうか。どうでしょう。ただ、つらいことや悲しいことがあったときに、あ、これは書けると思ってしまう自分がどこかにいまして、そういう意味では、どんなことでも作家の、仕事になるな、これは書けるなと感じてしまうのは、ひょっとしたらそういうことなのかな、というふうには思います。 ニコニコ動画:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。では、先ほど。【上原 00:54:08】、はい、どうぞ。マイクスタンドにお向かいください。
葉室さんにもし受賞を報告するとしたら?
朝日新聞:どうも、朝日新聞の上原です。澤田さん、おめでとうございます。 澤田:ありがとうございます。 朝日新聞:先ほどもちょっとお話、出ましたけれども、葉室麟さんと同じ、5回目での受賞ということで、もし葉室さんの作品、あるいは人柄から何か受け取ったものがこれまでおありでしたら、それを教えていただきたいのと。あと、葉室さんにもし受賞を報告するとしたら、どんなことを、声を掛けるでしょうか。 澤田:受け取った人柄。葉室さんがいつも言われたのは、どんなときも書けと。書いて書いて、書けと。生活は全てそこに投げ入れろ、みたいな方だったので、私は葉室さんほどのストイックさはないので、ごめん、遊ぶときは遊ぶっていうほうなんですが、でもやっぱり、そういったような、葉室さんの小説を書くということに対する姿勢っていうのは、やはり学んでいきたいなと思いますし、やっぱりたぶん、これから先もずっと考え続けるんだろうなと思います。 葉室さんがいらっしゃったら何を言うかということですね。そうですね、葉室さんがご存命のときっていうのは、私はまだ1回目の候補になって、落ちたあとでして、その後2回目、3回目、4回目、5回目となったんですが、ご自身が5回目でご受賞なさったので、よく、なんだ、1回目なんかで気にしちゃ駄目だよみたいな。僕なんか5回だったんだよ、5回だよ、みたいなことをおっしゃったんで、並んだやんかっていうふうに言いたいです。 朝日新聞:ありがとうございます。おめでとうございます。 澤田:ありがとうございます。 司会:ありがとうございました。もう一方。どうぞ。