「ノーベル賞」ってどんな賞なの? 坂東太郎のよく分かる時事用語
ノーベル賞の発表が10月3日の生理学・医学賞の皮切りに始まります。昨年は地球温暖化研究の礎を築いたとして真鍋淑郎氏が物理学賞を受賞しました。ノーベル賞はどんな賞で、どんな研究に贈られるのでしょうか。 【画像】新型コロナ「mRNAワクチン」生んだ2つの発見 30年来の研究がつながる
●ノーベルの遺言に基づき約120年前に創設
ノーベル賞は、ダイナマイトの発明で知られるスウェーデン人のアルフレッド・ノーベル(1833~96年)の遺言に基づき、1901年に創設されました。遺言とは「前年に人類に対して最大の貢献をした人々」に賞を授けるように、というもので、まず物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5つ賞で始まり、1968年に経済学が設立されて現在は計6部門からなります。 ノーベル賞を運営するのはノーベル財団(本部はスウェーデン・ストックホルム)で、遺産を管理しています。各賞の選考は、スウェーデンにある3つの学術・研究機関がそれぞれ物理学、化学、経済学(王立科学アカデミー)、生理学・医学(カロリンスカ研究所)、文学(スウェーデン・アカデミー)を、ノルウェーのノーベル委員会が平和賞について行います。 賞金は、2021年は各賞1000万スウェーデンクローナ(約1億3000万円)でした。複数人で受賞した場合は按分します。 受賞者は10月に賞ごとに発表され、ノーベルの命日である12月10日が授賞式。場所はスウェーデンのストックホルムですが、平和賞はノルウェーのオスロです。
●特に注目を集める「自然科学3賞」
ノーベル賞では、とりわけ自然科学3賞が注目を集めます。具体的には物理学、化学、生理学・医学の3つ。化学者でもあった創設者ノーベルの本業ともいえる自然科学の分野であり、日本出身の受賞者も多く出ています。 これまでに、最初の受賞者である1949年の湯川秀樹氏(物理学)以来、65年の朝永振一郎氏(同)、73年の江崎玲於奈氏(同)と続き、2021年時点で、物理学12人(うち3人は米国籍)、化学8人、生理学・医学5人が名を連ねています。ちなみに自然科学3賞以外では、文学2人、平和1人で、経済学賞の受賞者はいません。文学賞では日本生まれの英国人作家カズオ・イシグロ氏も受賞しています。