豪州監督&主力MFの新型コロナ感染欠場はW杯予選“天王山”にどんな影響を与えるのか…「日本戦の準備は大混乱」と地元メディア
さらに27人の名前を読み上げたアーノルド監督までが離脱した。埼玉スタジアムで敗れている日本との再戦へ、ホームでのアジア最終予選で1勝2分けと無敗を継続しているといっても、背水の陣に導かれる闘志と特異な状況に覚えるネガティブな感覚とが相まって、選手たちの心理状態にさまざまな影響を及ぼしかねない。 そのなかで、ファン・サポーターの希望を背負う初招集選手もいる。 南米ウルグアイ出身で、同国の世代別代表でプレーした経験も持つFWブルーノ・フォルナローリ(34、パース・グローリー)が、国籍変更後で待望の初招集を果たした。 母国のナシオナルやセリエAのサンプドリア、ギリシャのパナシナイコスでプレーしたフォルナローリは、2015年夏にメルボルン・シティへ加入。その後に現所属チームに移ったなかで、リーグ戦135試合に出場して81ゴールを叩き出してきた。 身長175cm体重68kgと高さはないものの、ゴール前における得点感覚と味方を生かす献身性を兼ね備える点取り屋は、母国で世代別代表としてプレーした選手が、新たに市民権を得た国でA代表入りを果たせる5年以上の在住実績をクリア。日本キラーとして名を馳せた、英雄ティム・ケーヒル氏の後押しもあって大一番で抜擢された。 感動で震える胸中を、フォルナローリはFFAの公式サイトでこう綴っている。 「この国のために戦う理由はたくさんある。キャリアのなかで、僕はこの瞬間を待っていた。いまこそこの瞬間を楽しみ、ベストを尽くすための準備をするときだ」 フォルナローリのツイッターをさかのぼっていくと、公私ともに仲のいいムーイとのツーショット写真に行き着く。6年ちかく前の投稿だが、ようやく同じユニフォームに袖を通せると喜んだのもつかの間、新型コロナによって無情にも遠ざけられた。 スコットランドで隔離中の親友のために、というフォルナローリの熱き思いが、緊急事態に見舞われたオーストラリアの新たな、日本にとっては未知の力になるかもしれない。