資産バブルでも金融緩和は継続? FRBパウエル議長の発言を読み解く
バブルを金融引き締めで阻止する必要はない?
こうした姿勢は「FEDビュー」と呼ばれる政策理念に基づいているように思えます。FEDビューとは、大まかにいえば「物価安定」「雇用最大化」を目的とする金融政策の結果、資産価格が大幅な上昇を示したとしても、それを金融引き締めによって阻止する必要はないというものです。 資産バブルは、(1)それが発生しているときに客観的な判定ができない、また(2)バブル潰しのために金融引き締めを実施したとしてもそれによって資産価格の急騰が収まるかは分からない、(3)引き締めの結果として生じる実体経済への悪影響が無視できない、という考え方です。またバブルを未然に防ぐことを重視する結果として失業が発生するくらいならば、(4)バブルが崩壊してからその時々の状況にあった対策を講じた方が全体として望ましい政策運営ができる、という視点もあります。 このFEDビューを踏まえた上で、上記パウエル議長の発言を振り返ると「景気が十分に回復するまで金融緩和を継続する」というFRBの姿勢を疑う理由は乏しいと考えられます。株価が上昇したからと言って、失業率が十分に低下する前に金融緩和の手を緩める可能性は低いでしょう。
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