Costcoのリテールメディア参入+会員費を値上げの影響は現在1%未満+2025年1Q数値など最新動向まとめ
■ 第1四半期に約100万件を配送 EC売上のなかでも、ハードウェア、スポーツ用品、家具、ギフトカードのカテゴリーは特に好調で、いずれも前年同期比で2ケタ成長になったようです。 2024年9-11月期の期間中、Costcoのフルフィルメント部門を担うCostcoロジスティクスは100万件近い配送を行ったとロン・ヴァクリス社長兼CEOは説明。さらに、第1四半期決算発表前の1週間で、19万6000件以上の配送を完了したそうです。ヴァクリス氏によると、Costcoロジスティクスを利用するECの注文が市場シェア拡大につながっていると言います。 会員以外も利用できる「Costco Next」(買い物客がCostco製品のサプライヤーのECサイトから直接オンライン購入でき、Costco規模の割引が適用されるサービス)は、「サンクスギビング(感謝祭)」「ブラックフライデー」「サイバーマンデー」のセール期間中に「記録的な売り上げを達成した」とミラーチップ氏は説明しています。 米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の調査によると、米国の消費者は「サンクスギビング」から「サイバーマンデー」までの5日間のセールで、410億ドル以上をECでショッピングしています。
リテールメディアに参入。初のキャンペーンで成果
Costcoは、他の量販店や食品・飲料小売店と独自のリテールメディアネットワークを立ち上げました。米小売スーパーマーケット大手のWalmart、Target、Kroger、Albertsonに追随し、Costcoも独自のファーストパーティデータを運用するマーケティング部門を設けました。 Costcoのリテールメディアネットワークチームは現在、25のサプライヤーと協働しています。 リテールメディアネットワークは広告プラットフォームの一種。運用する小売事業者は、自社のデジタルチャネルの広告枠を第三者に販売することができます。この広告枠を購入する広告主は、ロイヤルティプログラムの情報など、小売企業の顧客に関するファーストパーティデータを利用して、広告のターゲットを絞ることができます。広告は、小売企業のWebサイト、モバイルアプリ、店舗内のスクリーンやディスプレイに掲載可能。リテールメディアネットワークを運用する小売事業者にとっては、リテールメディアネットワークが新たな収益源となります。 Costcoは第1四半期に、顧客ターゲットを絞ったリテールメディアネットワークキャンペーンを初めて実施しました。ミラーチップ氏によると、このキャンペーンはCostcoが通常想定している広告費用対効果(ROAS)の2~3倍を達成したそうです。 ┌────────── Costcoのリテールメディアネットワークは、野球にたとえるとまだイニングの序盤戦ですが、将来的に大きな成長につながると信じています。(ミラーチップ氏) └────────── ミラーチップ氏は、リテールメディアネットワークを 「斬新なビジネスチャンス」と見ています。広告主となる小売業からリテールメディアネットワークに関心が寄せられるきっかけの多くは、小売業のマーケティング支援事業者だそうです。 Costcoのリテールメディア担当アシスタントバイスプレジデントのマーク・ウィリアムソン氏は、マーケティングニュースサイト「Marketing Brew」が2024年6月に配信した記事で、「Costcoのリテールメディアネットワークは、Costcoの会員にリーチするだけでなく、過去の顧客行動に基づいて、適切な理由から適切な消費者にリーチするお手伝いをします」と説明しています。