2代目トヨタ ラクティスにはコンパクトカーに必要な条件が揃っていた【10年ひと昔の新車】
ひとつ上のセグメントに匹敵する性能を目指した2代目
2010年11月、トヨタのコンパクトなトールワゴン「ラクティス」がフルモデルチェンジされ2代目となって登場した。クラスの枠と常識を越えたコンパクトカーを目指したラクティスは、2代目でどのうように進化したのか。時代はどのようなコンパクトカーを求めていたのか。ここでは発表後まもなく行われた試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年2月号より) 【写真はこちら】Bセグメントのコンパクトカーには見えない堂々とした姿。リアウインドウが最後まで下がるのもいい。(全6枚)
ファンカーゴの後継モデルとして、初代ラクティスがデビューしたのは2005年10月のことである。Bセグメントのコンパクトカーでありながら広い室内の居住空間とラゲッジスペースを持つことで好評となった。そして、その2代目がデビューした。 新型ラクティスは、全長と全幅、ホイールベースは先代と同サイズだが、全高が1640mmから1585mmへと55mm低くなり、室内幅も40mm広がった。全高が低くなったことに加え、新しいワンモーションフォルムを手に入れたことによりCd値(空気抵抗係数)は、0.30とMPVとしては優れたものになった。 ラクティスにはコンパクトカーに必要な条件がすべて揃っていると言っていいだろう。その特徴は、高さを2段階で調整できるアジャスタブルデッキボードを採用したこと、ラゲッジスペース側面のレバーで簡単にシートを格納できる6:4分割ダブルフォールディングリアシートをコンパクトカーで初採用したこと、ラゲッジスペースの開口部を60mm拡大して荷物の出し入れをしやすくしたことなど、ユーザーの使い勝手を重視している点だ。 ラインナップは、1.3LがX、Lepice(レピス)、G、1.5LがX、Lepice、G、Sとなる。1.5Lには4WDモデルも用意される。また、トランスミッションは全車にCVTが搭載されている。ちなみに、Lepiceとはフランス語で「隠し味、スパイス」の意味だ。 「新しいラクティスはひとつ上のセグメントからのダウンサイザーでも十分満足できるように静粛性、CD値、視界にはこだわっています」と言うのは第1アッパーボディ設計部 第11ボディ設計室 第5グループ長の中川顕秀さんだ。「とくにアイドリングから2000rpmまでのこもり音、CVTのロックアップ時のこもり音などを抑え、オーリスと同等レベルの静粛性を達成しています。また、フロントピラーを細くしたり、シート形状も変えるなど視界も改善しています」とも。 視界へのこだわりとしては、新型はワイパーアームが1本となったことも挙げられる。新型の方がフロントガラスの水滴を拭くことができる面積は広がっている。これはラクティスの新しいアイコンになるかもしれない。