名門小学校・元校長が教える、子どもが勉強するのは何のため?「良い生活を送らせるためだけではない。親が学ぶことの意味を忘れると、子どもは苦しくなる」
◆「できるか、できないか」ではなく「やるか、あきらめるか」 「勉強ができる、できない」と簡単に表現されることが多いですが、「できる、できない」という表現は間違っているということを、私は長い教員生活の中で感じてきました。 中高で担任や学年主任、教科担当者としてたくさんの生徒とかかわり、生徒の勉強に付き合ってきて、こつこつ努力して少しずつ成績を上昇させ、見事に結果を出した生徒をたくさん見てきました。 多くはそれぞれに悩んだり苦しんだりしながら学力をつけていきます。その一方で、あふれるほどの能力があるにもかかわらず、怠けてしまったことで成績が伸びず、不完全燃焼の6年間を送った生徒も存在しました。 この経験から言えるのは、中学高校の教育内容であれば、誰もががんばれば理解できて、あるレベルまでは到達できる、必ずできるようになるということです。 それでは、どうしてテストの点数に差が出るのか。 これはやったかやらなかったかの差なのです。できていない生徒はやはり勉強していないのです。どのような生徒でも時間をとって一つひとつ丁寧に学習を進めていけば、結果は出ます。 小学生の子どもたちにも全校朝礼で話しました。 勉強は「できるか、できないか」ではありません。「やるか、あきらめるか」なのです。 私たちは「できない」と言ってしまいがちですが、実はできないのではなく、あきらめて投げ出してしまっているだけなのです。 なんだかんだと理由をつけて自分に言い訳しながら、できない、無理だと思い込んでいるのです。無理だと決めつけてはそれ以上前に進むことはありません。 ――このように偉そうに言っている私自身も、そんなに意志が強いわけではありませんから、あきらめてしまったことも実はたくさんあります。 そうした弱さは誰にでもあると認めながら、それでもあきらめないようにがんばることが必要なのでしょう。 それを教えるのも、学校、そして大人たちの大きな役割であると思います。 ※本稿は、『心を育てる中学受験-全員が中学受験する洗足学園小学校が大切にしていること』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
吉田英也
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