名門小学校・元校長が教える、子どもが勉強するのは何のため?「良い生活を送らせるためだけではない。親が学ぶことの意味を忘れると、子どもは苦しくなる」
◆ときどき原点に立ち返ってください 親としては、子どもたちには希望する中学校に入ってほしい、いい大学を卒業してほしい、安定した仕事に就いてほしい、生活の心配のない大人になってほしいという願いをお持ちだろうと思います。 将来を思えばこそ、子どもにしっかり勉強しなさいと言っているかもしれません。 しかし、勉強する理由は、経済的によい生活を送るため、というだけではありません。小学生は勉強することで、努力を続ける習慣を身につけることができます。 そして何かしらの問題にぶつかったときに、どのように解決すればよいのか自ら考え、実行できるようになるのです。決してお金儲けのためや楽な生活のための勉強ではありません。 こんなことは、保護者のみなさんは百も承知のはずです。 しかし、目の前の宿題やすべきことをこなしていく日々では、つい忘れてしまいやすいものです。とにかく勉強して「よい点数をとる」ことに振り回されてしまいます。 親が学ぶことの意味を忘れてしまうと、子どもはどんどん苦しくなります。ときどき原点に立ち返って、日々、努力を厭(いと)わない子どもを育てているということを思い出していただきたいと思います。
◆「勉強=かっこいいこと」普段から伝え続けます 社会に出ると、さまざまな問題が連続して降りかかってきます。 そして、それらを自らの力で解決しなければ日常生活を平和に楽しく過ごすことはできません。前に進んでいくこともできません。 さらに、社会のためになるような行動を生きがいを持って実行するなど、もっとできません。 よりよい社会を実現していこうとする力を生み出す源(みなもと)が学力であり、継続的に努力する姿勢なのです。 勉強することは正しいことだ、よいことだ、かっこいいことなのだと自覚させることが大事です。そのために、普段からそう言い続けます。 10歳くらいまでは大人の言うことを基本的にはよく聞きますから、小学校時代に勉強を肯定的にとらえるよう言い続けることは、学力の向上に直結するのです。 学校では「学生は勉強するものなのだ」ということを前提に、淡々と毎日が繰り返されます。 学びの内容に興味を持ち、知的好奇心が湧いてくると、勉強はつらいものではなく、面白いものになっていくでしょう。
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