長谷部アビスパ集大成のJ1通算50勝目 本拠地最終戦で1-0「勝つにはこういう形という試合」
◆明治安田J1リーグ第37節 福岡1―0浦和(30日、ベスト電器スタジアム) 5年間で何度も見せてきた光景だった。堅い守りで相手の猛攻を止め、鋭いカウンターでワンチャンスをものにしての1―0。今季最多の1万7千人超が沸いたスタンドに、今季限りで退任する福岡の長谷部監督の頰が緩んだ。 ■「泣いてしまう」〝ラストマッチ〟スーパーゴール直後に涙腺崩壊シーン「これで最後なんだなと…」【動画】 「アビスパが勝つにはこういう形という試合ができた。喜んでいただき、勝ちにこだわるのが大事とあらためて感じた」とかみしめた。 限られた戦力を最大限に引き出し、輝かせてきた。FC東京で主にサイドハーフながら出番が限られていた紺野和也も、昨季加入するとやや中寄りの位置で起用。攻撃の要へと育てた。「選手としての幅が広がった。感謝しかない」という紺野は前半40分、カウンターで重見柾斗からパスをもらい、ペナルティーエリア手前から左足を一閃(いっせん)。自己最多のシーズン6点目を挙げ「行くと決めていた」と真っ先に長谷部監督の元へ駆け寄り、抱き合った。 後半11分には移籍後初出場となった元スイス代表のナッシム・ベンカリファら3人の攻撃的な選手を同時投入。追加点が取れないと判断すると、後半追加タイム直前に1点を守り切る戦いに変えた。複数得点と無失点での勝利を理想に掲げながら、クラブのスローガン「感動と勝ちにこだわる」を優先事項に置いて柔軟な采配を見せた。 「自分たちが何をしたいかを軸に置いてやりきってきた」と長谷部監督。ぶれない姿勢で積み上げた、監督としてクラブ最多となるJ1通算50勝目。記憶と記録の両面でクラブ史に名を残した。(末継智章)
西日本新聞社