【速報インプレ KLX230シェルパ&KLX230S】自由度の高い空冷単気筒と軽さでキビキビ走れる、“ポストセロー”の最有力
安心感と軽快さが同居した愉快なハンドリング
フレームは剛性感があり、特に直進時にガッシリと安心感がある。サスはソフトでよく動き、奥ではしっかり踏ん張る設定だ。100km/h走行時でも直進安定性に優れるものの、段差でかなりの衝撃がある。一方、街中では乗り心地がよく、快適だ。 そしてコーナリングが楽しい。フロント21&リヤ18インチの大径ホイールを履くオフ車らしく、体重移動でターンすると、リヤから旋回し、フロントが遅れてついてくる感覚。ただしシェルパは元気のいいエンジンとよく動くサスのおかげで、スロットルのオンオフによって車体がきっちりピッチングする。さらにハンドルの当て舵を加えると、かなりダイレクトに反応し、スパッと倒れ込む。 これらの動きを使うとより軽快にコーナリングでき、小回りも簡単。また、ブレーキも適度にシャープなタッチで、スポーティさに貢献してくれる。かといって挙動がシビアではなく適度にボカされており、基本的には安定志向だ。 なお、二人乗りも試してみた。サス設定がソフトなのでリヤがグッと沈み込み、ハンドリングへの影響は大。試してはいないが、リヤサスはイニシャルの無段階調整が可能なので、設定変更で改善できるかもしれない。 タンデムシートは薄く座面も小さめ。グラブバーもないので後席ライダーの快適度はあまり高くない。ただし、座面がフラット気味で、しっかりライダーの腰を挟めることができるのは安心だ。
不整地も安心、ビギナーもダートに誘ってくれる
砂利が敷かれたフラットダートや少しマディな草地も走ってみた。フロント21インチとブロックパターンタイヤがしっかり路面を捉え、サスがスムーズにストロークするため、グリップ感は良好だ。 ここで134kg(KLX230Sは133kg)の車重と足着き性が効いてくる。不意に車体が振られたり、スリップしたりしても軽いし、足が着くのでリカバリーしやすい。筆者はオフロード初心者だが、転ぶ気がほぼせずに楽しめた。特にフロントの動きが軽いため、極低速時などで積極的にハンドル操作を使えるのも安心感に一役買っているようだ。 ABSはダートでもしっかり効くが、リヤのみABSをキャンセル可能。停止状態で左ハンドルの赤いスイッチを長押しするとキャンセルでき、リヤロックが可能になる。テールスライドを試してみたが、こちらも不安がなかった。こんな気にさせてくれるのも軽快なシェルパならではだろう。 少しだけ気になるのはミラー。ステーがショートタイプのためか、はたまた私の体格のせいか、腕が映りこんで後方視界があまりよくない。また、メーターにギヤポジションが表示されるスペースがあるが、表示はされない。これらはスタイルやコストなどの関係があると思われ、個人でカスタムしてもいいと思う。