佐藤二朗さんが語る、稲垣吾郎さん、河合優実さんのすばらしさ(インタビュー/前編)
俳優業と作家活動の両立は、大変。だけどそれは「別腹」なのだとか。 「昔、緒形拳さんとご一緒したときに、僕が深夜ドラマの脚本を書いていることを知って、『佐藤、お前、そんなことをしている場合じゃないぞ。俺はこの年になっても芝居を探求しつづけているんだ。書くなんてことを、やってる場合じゃないぞ』って。ものすごくかわいがっていただいたんですけど、そう言われたんです。 緒形さんの言葉は昔も今も、まったくその通りだと思っていますし、かわいがっていただいていたからこその忠告だったと思います。 ただ、これはもう『別腹』としか言いようがないんですが、どうしても僕には演じる欲求とは別腹で、書く欲求があるようで。その『やりたいこと』を無理に封じ込めず、素直にその気持ちに従おうと思っています」 2012年から始めたX(旧ツィッター)での発信も、その別腹のひとつ。 「最初は宣伝目的で始めたんですけど、途中からこれも、140字という制限はあるけれど世界に発信するわけだから、書く欲求を満たすツールのひとつとして考えていいかなと思うようになりました。そうしたらありがたいことに、あれよあれよという間にフォロワー数が増えて(2024年6月現在・約206万人)、ありがたいです」 その人気は、選りすぐりの名言を集めたコラム集が発売されるほど。ほっこりする話や刺さる言葉も数々発信されて、佐藤さんのいろいろな顔が楽しめる。 そういえばこの映画を見て思うのは、人には誰にでも外側からは見えない裏の顔がある、ということ。 「多面性ってことで言うと、僕は精神年齢6歳の55歳児ってことですね。いつまでも少年の心を忘れないとか、そういうポジティブな意味じゃなくて、本当に幼いです。 例えば僕、カニがすごい好きなんですよ。家族で『かに道楽』に行ったりすると、僕は息子以上にそわそわする。頼んだカニはまだかな、まだ出てこないかなって(笑)。妻からは、そんなにそわそわする大人を私は見たことがないって言われます。 今夜は家で野球観戦しながら晩酌するぞってときも、息子にテレビの前の席を独占されちゃうとマズいので、夕方からその席の前に醤油皿と箸を置いてキープしておく。そわそわマックスです。それを見て妻は、あなたは父親というより長男みたいだって(笑)」 それにしても。『あんのこと』の多々羅刑事を演じる佐藤さんと比べると、今現在この取材を受けている佐藤さんは、かなりシュッとした感じ。顔の輪郭も体のシルエットも、引き締まって見える。 「この映画の撮影が終わってから、体重を12キロ落としたんです。1年で12キロですよ! 生まれて初めてのダイエットです」 その面白そうなお話は、後編に続く!お楽しみに。