リチウム代替に期待…北大、亜鉛電池のエネルギー密度向上
北海道大学の小林弘明准教授とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の勝山湧斗大学院生らは、水系亜鉛イオン電池で2電子分の充放電反応を起こすことに成功した。亜鉛マンガン酸化物の微粒子を直径5ナノメートル(ナノは10億分の1)程度まで極小化して2電子反応が進むようにした。亜鉛電池はリチウムイオン電池(LiB)よりも資源リスクが小さく、エネルギー密度を高められると期待される。 アルコール還元法で亜鉛マンガン酸化物の微粒子を合成し、炭素材料のグラフェンに担持させた。亜鉛イオン電池の正極に用いて試験するとエネルギー密度が1キログラム当たり370ワット時となった。充放電中の物質状態をX線回折で調べると、2電子分の酸化還元反応が起きていた。 リチウムイオンは1原子当たり1電子、亜鉛イオンは1原子当たり2電子を利用できる。ただ2電子分の充放電を安定させることが難しかった。新材料は出力密度とエネルギー密度を両立する材料候補になり得る。