「最も健康的なスポーツ」はテニス、科学者が徹底解説、始める人へのアドバイスも
10年近く寿命を延ばす
これらはテニスをしている人がほかの多くのスポーツをしている人より長生きする要因でもある。 これを実証すべく、デンマークの心臓専門医ピーター・シュノール氏らは有名な「コペンハーゲン心血管研究」を行い、さまざまなスポーツと寿命の関係を25年にわたって調べた。 シュノール氏によれば、テニスの寿命を延ばす効果は、調査対象となったどのスポーツより顕著だった。各スポーツの寿命を延ばす効果は、サッカーが4.7年、自転車が3.7年、水泳が3.4年、ジョギングが3.2年だった。そして、驚くことに、テニスをしている人は9.7年も寿命が延びた。シュノール氏は、テニスが心血管系と筋骨格系に有利であり、テニスを通じて人とのかかわり合いからサポートが得られる点を理由に挙げている。 「社会的孤立が短命を招く最も強い予測因子の一つであることからもこれは明らかです」とシュノール氏は述べている。ちなみに次点はバドミントンの6.2年だった。
心の健康にもいい効果
テニスはメンタルヘルスにもいい。 「このスポーツでは、絶えず戦略を立て、素早く決断し、状況に適応することが求められるため、脳の機能が刺激され、認知能力が問われます」と身体運動学の専門家で、米ミシシッピ州立大学身体活動ウェルネス研究所の所長でもあるミーガン・ホルムス氏は話す。 テニスの反復運動によって、「脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるタンパク質が海馬で活性化します」とシュワルツ氏も述べている。BDNFは神経の可塑性を向上させ、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐ。ハシシュ氏によれば、BDNFは記憶機能も向上させるという。 また、テニスをする人は「非活動的な人に比べて、眼球運動が正確で、反応時間が速い」とプルイム氏は指摘し、テニスをする人はほかのスポーツをしている人に比べても、反応時間や時間情報処理が優れていると言い添えた。 さらに、グラッドストーン氏によれば、テニスをする人は「そうでない人に比べ、ストレス、抑うつ、不安のレベルが有意に低い」という研究結果もある。