主エンジン改良、構造単純化で低コスト…H3ロケットの成長はまだ続く
3回連続で打ち上げに成功し、ようやく開発が軌道に乗ってきた日本の次世代主力ロケット「H3」。試験運用は2号機までで終了しているが、機体は開発の途上にあり、さらなる成長が計画されている。 【写真】種子島宇宙センターから打ち上げられ、上昇するH3ロケット4号機 新開発の主エンジン「LE9」は、現在の主力ロケット「H2A」の主エンジンよりパワーが大きい。さらに部品数が減って構造が単純化し低コスト化につながった。 ただ、初号機に2基搭載したLE9は、打ち上げ時に多少の振動が生じていた。そこで2号機は従来型と改良型を1基ずつ搭載。効果が確認されたため、3、4号機は改良型を2基搭載し、打ち上げを成功させた。さらに宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、改良型よりも振動などへの対策についての効果を高めたLE9の開発を急ぐ。 機体展開の多様化も課題だ。初号機から4号機は、主エンジン2基、打ち上げに必要な推進力を補助する固体ロケットブースターが2基だった。大型衛星の打ち上げに十分なパワーだが、民間企業の多くが利用する小型衛星には能力が過大だ。 そのため、主エンジン3基だけで固体ロケットブースターを使わない、低パワーの機体の開発が進んでいる。小型衛星に適した推進力で、使う燃料も減らせる。逆に、大型の物資輸送などでは固体ロケットブースターを4基に増やし、衛星カバーを大型化して対応するという。(伊藤壽一郎)