防衛省独自の通信衛星網確立、自衛隊の統制能力を強化 「H3」4号機打ち上げ成功
日本の次世代主力ロケット「H3」4号機が4日、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられ、防衛省のXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」を予定軌道に投入した。 【画像】Xバンド防衛通信衛星の想像図 きらめきは既に1、2号が運用中で、3号が本格的に稼働すれば、防衛省独自の安定した広域高速通信網が確立。幅広い地域に展開する陸海空自衛隊の統制能力が、より強化される。 Xバンドとは、国際的に軍事利用が認められている8ギガ~12ギガヘルツ(ギガは10億)の周波数帯域(バンド)のことで、この帯域の電波を利用した通信は、降雨や大気の乱れがあっても途切れず安定していることが特徴とされる。そのため、以前から分散した自衛隊間の通信に利用されてきた。 きらめきが打ち上げられる以前は、民間Xバンド通信衛星3基による通信サービスを利用していた。だが、容量に制限がある上に老朽化が進んだため、防衛省が所有し運用する高性能なXバンド通信衛星3基体制による独自の通信網を構築することになった。 平成29~30年に打ち上げられた2基のうち、1号は太平洋上空、2号はインド洋上空をカバー。今回打ち上げられた3号は日本上空をカバーすることで、太平洋からインド洋に至る広域の独自通信網が確立する。 通信容量が大幅に向上するため、大規模災害の発生時などに、特定の地域で通信が集中した場合でも対応でき、機動的な災害救助活動に貢献。大容量の画像や映像も送受信可能で、有事の際の状況把握や即応体制の判断にも役立ちそうだ。(伊藤壽一郎)