4月の「マイナス金利解除」は少し後退? 日銀の政策指針をどう読み解くか
マイナス金利解除への明示的な動きはなし
植田総裁の記者会見では、上記の「こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっている」という文言に関する質問があり、それに対して総裁は「どれくらい近づいたかという定量的な把握自体は非常に難しい」とお茶を濁しました。もっとも、マイナス金利を解除したとしても「極めて緩和的な金融環境が当面続くということは言えるのではないか」と述べたほか、マイナス金利解除後の金融政策について「出口の前後で大きな不連続性が発生することがなるべくないように運営したい」と発言するなど、中長期的な見通しにも言及しました。 このように日銀は物価見通しに自信をにじませるなど、将来的なマイナス金利解除を念頭に置いたかのような情報発信をしました。もっとも、今回の金融政策決定会合では、フォワードガイダンスを完全に維持するなどマイナス金利解除に向けた明示的な動きは確認できませんでした。筆者は依然として3月にマイナス金利解除の予告をした後、4月に決断という展開が最も有力であると判断していますが、その可能性は微妙に低下した印象です。もし日銀が4月のマイナス金利解除ありきでいるならば、もう少し強めのシグナルを発していたのではないでしょうか。
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