なぜ拳四朗陣営はバッティング問題のJBC回答に再抗議したのか…WBC“再戦指令”を伝達しないJBCに矢吹陣営も不信感
流血がバッティングか、パンチによるものかの正確な判断をレフェリーが試合の中で完璧に下すことは難しい。死角もある。だが、今回の質問状のような異議申し立てがあった場合、映像の確認や現場にいた関係者の複数のヒアリングなどを行い、後日、訂正することは可能。過去に訂正がなされた例も少なくない。ただし、ほとんどの場合は、偶然のバッティングであり、現場のレフェリーの判断でも故意のバッティングと認定され、減点を科せられるケースはレアだ。 故意バッティングを認定しなかったJBCの判断は間違っていない。法廷ではなく戦いなのだから寺地陣営の弁護士が主張する「未必の故意」はリング上では存在しないと言っていい。 ただカットがパンチによるものだと判断して、それが間違っていた可能性があるのであれば、「故意ではないが偶然のバッティングである可能性がある」として、パンチによる出血としたジャッジを訂正してもおかしくなかった。寺地会長が、主張するのは、その点だろう。 しかし、なぜ寺地会長は、JBCの回答から10日以上も経過して再度、わざわざ会見を開いたのだろう。その理由は、今回の問題に関するWBCからの見解が、今なおJBCから通達されないからだ。 WBCは今回のバッティング問題の報告を受けて独自に映像などをチェックした上で、8度防衛したWBCへの拳四朗の過去の貢献なども考慮してダイレクトリマッチを指令する方針を固めた。JBCに対してもすでにその意向を内示していると見られる。 だが、その再戦指令は、寺地陣営だけでなく王者の矢吹陣営にも知らされていない。WBCの示した見解が、なぜかJBC内部でストップされていると見受けられており、その状況への不満が根底にある。 寺地会長も「連絡はコミッションから何もないのでわからない。WBCは正しい判断をしてくれると思うが、今は待っている状況。あのままで終わるのはファンも望んでいない。はっきりと勝敗をつけてほしい」と複雑な心境を明かし、辻口弁護士は、「一人のファンとしての意見」と前置きした上で「スポーツとしてクリーンな試合(再戦)を見てみたい」と陣営の思いを代弁した。 実は、寺地陣営の関係者はJBCに「届いているはずのWBCからの指令をなぜ出さないのか」と問い合わせているが、拳四朗自身が引退か再起かの進退を明かしていないことや、WBCからの正式アナウンスを待っている状況などを理由に、WBCからの内示があったかどうかさえも明らかにしなかったという。 拳四朗自身は、まだ進退を正式に表明していないが、この日、寺地会長は「試合が終わってから本人とは、やるかどうかの話は一切していないが、たぶんやるだろうなと思う」と、再起の方向であることを明かした。またWBCの最終的な結論が伝達された時点で拳四朗の記者会見を開く方向だという。 JBCの対応について不満を募らせているのは王者サイドも同じだ。