洋服のデトックスで感じた清々しさと罪の意識。果たして捨てることなく家は片付けられるのか
果たして、捨てずに家は片付けられるのか
さらに、洋服から洋服へのリサイクルは1%にも満たないという。ほとんどは車の緩衝材やウエス(使い捨て雑巾)になっているそうだ。 それでもリサイクルできるなら、まだいいのかもしれない。 レザーや着物・帯など、リサイクルができない素材もあり、それらは廃棄されることが多いという。 我が家の箪笥二竿分の着物や帯は行き場がないというのか。 しかし、救済できる道はある。 それがリユースだ。 この日のワークショップには株式会社BpLabと株式会社ブックオフが手を取り合って生まれた、“捨てない環境づくり”のための「R-Loop」という回収ボックスが2つ用意されていた。 一つは洋服、もう一つはバッグや靴、食器など洋服以外のものを回収するボックスだった。 まず、洋服ボックスで回収した衣類は、株式会社BpLabがリユースとリサイクルに選別する。 リサイクルに選別されたアイテムは、日本国内の工場へ運ばれ、衣類の付属品を取り分け、さらに素材ごとに分別。 タグやファスナー、ボタンなどは手作業で外さなくてはならない。非常に手間のかかる作業だが、混ぜればゴミ、分別すれば資源。最も大切な工程だ。 複数の繊維で紡績された混紡素材より、コットン、リネン100%など1種類で紡績された単素材の方が、リサイクルしやすいことも教わった。 一方、リユースに選別された洋服はどうなるか。 もう1つのボックスで回収したものと共に、株式会社ブックオフがマレーシアを拠点に展開しているリサイクルショップ「Jalan Jalan Japan」へ送る。そこでメンテナンスやクリーニングをした後に商品として取り扱うという。 どんなに中古品でも、日本の製品はマレーシアで製造された新品より優れていると評価が高く、仕入れ販売率はなんと95%というから驚きだ。 ずっとマレーシアに14店舗ある「Jalan Jalan Japan」で回収品のすべて取り扱っていたが、近年、寒い地域であるカザフスタンに7店舗ができたことで、冬服の需要がぐんとアップしたそうだ。 「R-Loopボックス」で回収されたほとんどの物が、廃棄されることなくリサイクルによって生まれ変わるか、誰かにもう一度使ってもらえるリユース品になるという。 現地で生活する人々の生活を豊かにしているだけでなく、リサイクルショップでの雇用も生まれ「働く幸せ」も、もたらしている。 「R-Loopボックス」の取り組みはまだ始まったばかりで、設置されているところは僅かだが、一部の自治体やマルイ(北千住店、草加店、町田店、マルイファミリー溝口店)で取り組みが始まったそうだ。今後は、商業施設やマンションの設置などにも対応していきたいと話していた。 さらに広がっていけば、社会全体に循環させる仕組みが整い、地球に優しい環境を実現することができるだろう。 この回収ボックスが街にあふれた未来を想像し、明るい気持ちが芽生えたことを見透かされたかのようなタイミングで最後に司会の方が言った。 「いかがでしたでしょうか。ただ、この回収ボックスがあるからと言って、安心はしないで欲しいと思います。 消費者である皆さんは、購入する段階で意思を伝えることができます。 何を選んで、そして買うかーー。 それは選挙でいうところの清き一票と同じだと思います」