洋服のデトックスで感じた清々しさと罪の意識。果たして捨てることなく家は片付けられるのか
似合うか、着まわせるかに加え、もう一歩先を考えた洋服選びを
私は企業だけに環境問題の解決を委ねていたのかもしれない。 これまで洋服や靴・バッグを買う際に、自分に似合うかどうか、手持ちの洋服に合うか、着まわしができるかなど、購入した後のことしか考えていなかったのだから。 似合うか、着まわせるか。 そして手放す時、どのような選択肢があるのか。 それより以前に、本当に必要なのかーー。 これからはもう一歩先の、“手放す”時のことも意識してみようと思う。 セールになっていても、安易に飛びついたりまとめ買いはしないこと。 サイズや色など、少しでも迷ったら一度見送ること。 どんな素材かを確認して、できる限り分別しやすい単一素材を選ぶこと。 デコラティブなデザインの洋服やリサイクルが難しい素材の製品は衝動買いを避けること。 しかし、若いころに買ったものすべてがデトックスの対象ではなかった。 中には20年以上愛用しているものもある。 そして今、私と背丈が一緒になった娘が、トレンチコートやGジャン、レザーのショルダーバッグのお下がりを喜んで愛用してくれている。 今年の夏、娘が私の浴衣を着た。 私が着ていた写真を見つけ、娘の写真とともに、両親へメールをした。 そう。着物は代々、親から子へと引き継いで着るという前提があったのだ。こうした昔の日本人の物に対する姿勢を、見直すべき時がきたのかもしれない。 毎シーズン買い換えたり、色違いでそろえるのではなく、10年、20年単位で考えるという、私たち祖先がずっとしていたものの選び方を。 買い物は決して罪ではないと思う。 経済の大切な行為でもあるし、何より気に入ったものが身の回りにあると、幸せな気持ちになる。 私のおしゃれが好きな気持ちは、きっと変わらないと思う。 だからこそ、環境に負担をかけないようにという意識を今まで以上に持てば、消費者としての責任は、これまでより果たせるのではないだろうか。 些細なことかもしれないが、それぞれが意識を変えることで、流通する製品だって少しずつ変わっていくかもしれない。 個々の一票はきっと、大きなうねりとなるはずだ。 私にはきっとまた断捨離のタイミングが訪れるだろう。そしていつか実家じまいもするはずだ。 その時に、リサイクルやリユースなど循環させる手放し方を意識して、洋服を始めとした身の回りの物と向き合おうと思う。 ゴミ袋に洋服を詰めた日の、あの痛みを忘れないようにして。 文・イラスト 笹本絵里
笹本 絵里(ライター)