「そんなの関係ねえ!」今は悩みを抱えた子どもに寄り添う"海パンおじさん" 小島よしお
友だちとの関係は執着せずに、軽く握った「心の握手」で
――最近印象に残った、子どもからの相談は何ですか。 いままで一番遊んでいた友だちだったのに、もう遊んでくれなくなって別の友だちのほうに行っちゃった、という相談ですね。僕もそんな経験があり、へそを曲げたことがある。でもそれは、よくよく考えると“執着”。友だちと自分との関係がこうあり続けなくちゃいけないという思いが強くなり、自分が寂しい思いをしたということ。で、“執着”は子どもには難しい言葉だから、“心の握手”と言いかえました。握手はあんまり強く握りすぎると相手が痛いし、逆に強く握られたら自分も痛くなっちゃう。握手を強くしすぎないほうが楽ですよね。学校のクラス替えなどで離れてしまった場合、この人と手をつないでいなきゃとしがみついていると、結局お互い苦しくなっちゃう。だからもっと軽く握ったらいいんじゃないかな、と提案しました。 ――子どもの引きこもりについてはどうですか。 学校に行かないといけない、社会に出なくちゃいけない、そういう考えだと引きこもりはマイナスですけど、もしかしたらそんな子どもがゲームや本を通して自分の世界を広げている可能性もあります。周囲も自分も、あまりネガティブに捉えすぎない、決めつけすぎないことがお互いを理解するためには必要じゃないかなと思いますね。もしもお子さんが引きこもってしまったなら、プレッシャーを与えることよりも、一緒に旅行をしたり、イベントに参加しようと促してみるのがいいかもしれません。 ――親子ゲンカでこじれた場合の対処法は? ポイントは第三者の存在ですね。僕も中学校のとき母親とよくケンカしていましたけど、先輩の母親や野球部の先生など第三者が入ってくれたことで、ずいぶんと緩和していました。ふたりで話すのはやっぱり限界がある。もうひとり入ってくることで方向性が広がっていくし、冷静な話し合いができる。別の解決方法が見いだせる場合もあります。 ――その第三者とのつながりはどう育めばいいですか。 うちがよかったのは母親が社交的な人で、地域や学校での人間関係が築かれていたから。客商売をやっていたというのもあるでしょうけど、母親はいつも積極的にいろんな人に声をかけるし、僕も「挨拶をしなさい」と教育されました。挨拶を意識的にすることは大事で、「おはようございます」「こんにちは」というのはコミュニケーションの第一歩。子どもの世界にも大人の世界にも、いじめや孤立などいろんな問題がありますけど、つくづく思うのは、日頃のコミュニケーションがとても大事だということ。そう言いつつも僕も、いつもご近所さんにしっかり挨拶できてるわけでもないんですが(笑)。