リメイクが繰り返される秀逸映画5選!
『キングコング』(1933年)をリメイク!『キング・コング』
近年は、日本が生んだモンスターキャラ、ゴジラとの共闘で注目されるキング・コング。そのルーツは、1933年に公開された『キングコング』だ。NYのエンパイア・ステートビルの天辺で飛行機を掴むなど、ストップモーションを駆使した特撮映像が“伝説”となった。その後、人気キャラとなったコングは、日本映画を含め何度も登場したが、本格的リメイクが1976年の『キングコング』。NYの新たなランドマークとなった世界貿易センターのツインタワーにコングが登った。そして2005年、『ロード・オブ・ザ・リング』などのピーター・ジャクソンが最先端の映像技術で再生させたのが『キング・コング』である(前2作と違って邦題の“・”で区別できる)。 最も革新的だったのは、コングを俳優が“演じた”こと。着ぐるみのスーツアクターではなく、俳優の動きや表情を取り込んだモーションキャプチャーで、コングがCG化され、超リアルな映像が完成した。任されたのは『ロード・オブ・ザ・リング』でもキャプチャーでゴラムを演じたアンディ・サーキス。髑髏島で崇められていたキング・コングが、映画撮影のために島を訪れた女性アンに一目惚れする。NYへ連れて行かれ、見せ物になったコングがアンを探して大暴れする展開は基本に忠実。クライマックスの舞台もエンパイア・ステートビルに戻された。サーキスの表情演技が反映されたおかげで、コングにもたっぷり感情移入でき、切ない感動をもたらす秀逸なリメイクになったと言っていい。
『暗黒街の顔役』(1932年)をリメイク!『スカーフェイス』
1932年、ハワード・ホークス監督の『暗黒街の顔役』は、禁酒法時代のシカゴを背景に、あのアル・カポネにまつわる実話を基にしたマフィア映画の金字塔。それを半世紀後の1983年、鬼才ブライアン・デ・パルマ監がリメイクした『スカーフェイス』では、舞台が80年代のマイアミに移された。何千人もの亡命志願者とともにキューバからアメリカへ渡ったトニー・モンタナが、麻薬取引で一攫千金を狙い、のし上がっていく。 基本的な流れはオリジナルどおりだが、スラングが多用されるセリフの応酬、電動ノコギリを使った拷問をはじめとした衝撃のバイオレンス描写で、現在もカルト的な人気を誇る一作となった。クライマックスの銃撃は、映画史に残る名シーンと言っていいレベルで、アル・パチーノの超迫真演技でトニー・モンタナは時代のアイコンとなった。2020年には、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督で、『ノーカントリー』のコーエン兄弟が脚本、舞台をロサンゼルスに移した再度のリメイク企画も進んでいたが中断。それだけ作り手のモチベーションかき立てる題材ということだ。