宮沢氏「SMバー支出」違法じゃないなら何が問題? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
2014年10月、政治資金問題をめぐる問題で小渕優子経済産業大臣(経産相)が辞任した後任となった広島県選出の宮沢洋一経産相の資金管理団体から「SMバー」へ支出があったとわかり騒然としています。宮沢経産相は他にも経産省が所管する東京電力の株を多数保有していたり、外国人からの献金を受けていたりという事実がわかり野党(首相・内閣の味方以外の勢力)が「不適切だ」と批判しています。
■SMバー支出問題
まず「SMバー」について。支出していた資金管理団体とは「政治団体」の一種で、1人1団体だけ指定できます。個人献金(寄付)を受け取るのを認められた政治家個人の資金を管理する団体。政治家自身が代表を務め、一人年間150万円まで寄付が認められています。政治資金規正法施行規則に基づく「政治活動費」を使えますが「政治家の主張を広く知らせたり、応援者を増やすなど」に使途が限られています。資金管理団体は政党支部、後援会と並んで政治団体の中でもとりわけ厳しく監視され、政治資金収支報告書は人件費を除く1万円以上の支出記載と1円以上の支出の領収書保管義務があるのです。 その2010年分の報告書9月6日に「交際費」の名目で内の「SMバー」で1万8230円を使ったと記載されていました。その店は下着姿の女性を縛るショーが売り物で、客も縛ってもらったり叩いてもらえるというサービスが売り物とか。 合法でのサービスで経営している選挙区内の店ですし、いかなる性癖の持ち主でも有権者であれば議員が視察したり、清き一票を獲得するための人脈作りとして「交際費」を充てても違法性はほぼないでしょう。 ところが宮沢経産相は「行ったのは事務所関係者だった」「私はそういう趣味はない」「報告書は見ていたが店名だけは(SMバーと)わからなかった」「代金は行った本人に弁済させて報告書を訂正する」と釈明し、「評価される仕事をすることが私の責任」と、辞任の考えはないと述べました。任命者の首相も違法性はないとしてこの問題での罷免などは考えていないようです。まあその「事務所関係者」がどんな目的であれ支払いを親分の収支報告書に記載してタダで遊んだ? というのは間抜けな話ではあるけれど。