宮沢氏「SMバー支出」違法じゃないなら何が問題? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
■東電株保有問題
宮沢大臣は東京電力株を600株保有しているのも問題視されています。原発再稼働などエネルギー問題を管轄するのが経済産業省。そのトップが場合によっては東電に不利な決定をしなければならない立場になって判断に公平性が保てるのかという疑問です。 株主は基本的に株価の上昇を願います。東電は優良株の代表的存在でしたが、福島第一原発事故以来急落。国民の考えはともかく市場は原発再稼働を好感するでしょう。折しも東電柏崎刈羽原発が活断層の上にあるのかないのか議論されています。東電は「活断層ではない」の立場。そんな微妙な時期に株主が大臣とはおかしくないか。今や23万円強に過ぎないのだし売却しておくべきだったという批判があります。 なお大臣がどこかの会社の株を所有する自体は違法ではありません。
◎大臣規範とは 宮沢大臣側にも言い分はありそうです。何せ前任者の辞任を受けた当日に任命されていて売るタイミングもなかったでしょう。 また宮沢氏は2001年に閣議決定された「大臣規範」に基づき東電株を信託するので問題ないともしています。大臣規範とは国務大臣の在任期間中、株式などを信託銀行などに信託し、期間内の解約も変更も原則としてできないというものです。それでも任から離れた段階で高値になるよう東電に有利な判断をしかねないとの批判を浴びています。
■外国人献金問題
宮沢大臣はまた2007年から08年に政治資金規正法が禁じている外国人が過半数の株式を持つ企業から政党支部(代表は宮沢氏本人)合わせて40万円の寄付を受けていたと明らかにしました。日本の企業だと思っていたそうです。ここがポイントで、もし知っていた上で受け取っていたら「3年以下の禁錮か50万円以下の罰金」が待っていてアウト。なおこの問題は稿を改めて分析してみます。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】