宮沢氏「SMバー支出」違法じゃないなら何が問題? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
◎では何が問題なの? いみじくも経産相の弁明で分かります。「行ったのは事務所関係者だった」「私はそういう趣味はない」と。「そういう趣味」だと思われては困るし、事実として行っていないとどうしても言っておかないとまずいと考えたはずです。 野党の追及も「レベルが低い」というトーンで一貫しています。「大変情けない」「政治活動かどうか疑問だ」「次元が低すぎる」「適正を欠く」「スタッフの管理がなっていない」といった声がわき起こりました。 この問題が世間でも批判的に語られるのは政治資金収支報告書の使途が適切であったかどうかまでは調べなくていい仕組みになってもいる点にもあるでしょう。不祥事が相次いだ結果、政治資金規正法はどんどん厳しくなっていきました。その抜け道をかいくぐるような行為であり、国民の目が次第に資金の入口から出口へと監視を強めている最中に起きたできごとでした。 与野党ともに頭に浮かぶのが「荒井聡国家戦略相キャミソール問題」でしょう。民主党政権下で2010年、後援会の事務所費を巡り荒井大臣が火だるまになりました。 こちらは「政治活動費」ではなく「政治団体」が存続するために必要な経費を指す「経常経費」でした。ただ「政治活動費」も「経常経費」も政治資金規正法施行規則の基づく管理がなされている点では同じです。そこにキャミソールや少女コミック、マッサージ治療費などが3万6000円ほど記載されており、荒井大臣は秘書の不手際であるも違法性はないと宮沢大臣とソックリな弁明をしていました。 当時野党だった自民党などは「辞任に値する」「認識不足」と強く批判し、最後には参議院で問責決議案まで出して詰めよりました。問責決議案は可決されても法的拘束力はないものの責任を取ってやめろという参議院究極の意思表示で、可決されたら事実上いわゆる「出禁」。あの時の自民党の攻勢がブーメランのように宮沢大臣に跳ね返ってきています。