2025年、米中台は一線を越えるか 銃を構えるトランプ・習近平・頼清徳、引き金を引くのは誰…駆け引きは予測不能
トランプ次期大統領の任期が2025年1月20日にスタートする。多くの人がバイデン政権よりトランプ政権の方が中国に対して厳しい態度で臨み、習近平はトランプの予測不可能な行動を警戒して、より慎重になるのではないか、と期待している。 【写真】中国の習近平国家主席が「トラウマ」を抱えたとされるトランプ氏の私邸での夕食会 経済的にも厳しい状況が続き、解放軍内部の大粛清も続いている状況で、中国が台湾に対して実際的なアクションを起こす可能性はむしろ低くなるという、という予測もある。 だが、私は予測不可能のトランプ政権だからこそ、2025年の米中台緊張は一気に高まり、引き返すことのできない“ポイント・オブ・ノーリターン”の一線を越えてしまうことを懸念している。追い詰められた弱者ほど自暴自棄の非合理的な行動に出やすいのは、中国で多発している「社会報復性テロ」「献忠事件」を見てもわかるだろう。 2025年の米中台関係を占ってみたい。 (福島 香織:ジャーナリスト) 米海軍インド太平洋司令のサミュエル・パパロ大将が最近開催されたレーガン研究所主催のレーガン国防フォーラムの中で、「2027年に台湾海峡有事が発生すれば、中国を打ち負かすだけの能力を米軍は持っている」と発言。習近平が「米国に絶対勝たねばならない」という目標を2027年に設定しているのは、むしろ自分たちの軍事実力に対する自信のなさの表れだ、と指摘した。 さらに台湾の防衛協力についてトランプ政権は継続するつもりか、という質問に関しては「米国は台湾政策を半世紀以上続けており、この政策は米国とすべての民主市場経済に緊密にリンクしている」「台湾政策の基礎は台湾問題を平和的解決するべきであるという中国との最初のコミュニケで言明している通りだ。だが同時に実力を持って武力衝突の発生を抑制するということでもある」「台湾関係法は明確に国防省の職責を規定しており、国防相は台湾を守るために常に備え、台湾に防御用の兵器とサービスを提供すべきだ」と明確に答えた。 中国は1982年夏のレーガン政権時代に発表された第3のコミュニケ(817コミュニケ)の「武器売却を次第に減らしていき一定期間に最終的解決に導く」という表現に違反すると反論するが、パパロは「中国が目下、台湾海峡地域の軍事化を強めていることが、米国が武器供与を続けていく理由である」と主張している。 だが、一方で、トランプ自身は台湾について、メディアのインタビューで、決して台湾を軍事的に防衛するという言質は取らせていない。