2025年、米中台は一線を越えるか 銃を構えるトランプ・習近平・頼清徳、引き金を引くのは誰…駆け引きは予測不能
■ マスクと李強は「義兄弟」 中国の駐米大使館公使の邱文星は中米研究センターでのイベントで、トランプが習近平を大統領就任式に招待したことについて称賛し、第2期トランプ政権は米中関係好転の1つの良いきっかけになる、と評価していた。ただ、習近平がこの招待を受けるとは一言も言っていない。 こうした声が外交官僚側から出た背景には、アメリカ・ファースト主義のトランプは、中国が米国に利益を提供すれば、対中強硬外交姿勢も180度くらい変わるのではないか、という期待があるかもしれない。 たとえば、トランプはかつて強烈なビットコイン批判者だったが、今やビットコインをドルの準備資産にすると言い出している。イーロン・マスクとの関係も、トランプはかつてマスクを「嘘つきの芸術家」と呼び、マスクはトランプに「引退すべきだ」と言っていたのに、いまやトランプとマスクは「最強のコンビ」「義兄弟」のように仲良くなっている。 マスクがCEOを務めるテスラにとって中国市場は米国に次ぐ規模。「上海がなければテスラは存在しない」と言われるほどで、テスラ社は一部地方の政府調達物資リストにも入っている国有企業待遇だ。 マスクは李強首相と「義兄弟」と呼ばれるほどの親密な関係を維持し、オーストラリアのメディアABCは、「マスクは米中間のユニークな仲介役になるだろう」というプリンストン大学中国工業政策研究員のケリー・チャンのコメントを紹介している。 つまりトランプは、かつて敵意を見せた相手ですら、利益を見いだせれば手を組むこともする予測不可能な存在。中国が米国にとってのビットコインやイーロン・マスクのようにならないともかぎらない、というわけだ。しかも、イーロン・マスクのように太いパイプもある。 こうした米中間の緊張と独特の駆け引きの動きを見つつ、台湾の頼清徳政権ははっきりと米国接近への舵をとっている。