よくあんな15歳の生意気なガキを仲間に入れて、面倒見てくれたなってーー中3でJ1デビュー、森本貴幸の今
―その後、わずか半年の在籍で7月に退団していますね? 「4月に一度試合にも出たんですけど、6月に練習中に膝を壊してしまったので、契約解除して日本に帰ることになりました。その時も『パラグアイ国外に本当なら出られないんだぞ』とかめちゃくちゃなことを言われましたけど、なにごともなく帰国しています。事故は起こしてしまいましたが、子どもの頃から憧れていた南米でプレーする夢が叶えられましたし、コロナ禍で無観客試合の時期でも練習場に来てくれるファンの熱を感じられて、本当に嬉しかったです」
台湾では指導者も始めている
日本で手術とリハビリを行い、その後古巣・東京ヴェルディのU-18チームで調整。帰国から約1年たち完治した頃、ヴェルディ時代の先輩・一柳夢吾の紹介で、台湾1部リーグ台中Futuroに入団した。台湾はFIFA(国際サッカー連盟)ランク157位でAFC(アジアサッカー連盟)32位とサッカーが決して強い国ではない。日本はFIFAランク24位でAFC内では2位である。 ―台湾のレベル的なことは気にならないです? 「気にならなかったです。1年ぐらいリハビリもしたので、どれくらい動けるか、動けないのかわかっていましたし。言い方は悪いですけどちょうどいいという感じです。それよりも、楽しいですよ。日本人オーナーが立ち上げて5、6年目ぐらいのクラブで、スポンサー集めの様子とか、クラブってこうやって作られていくんだというのがわかって」
―ポジションはフォワードですか? 「フォワードだけど、もうほぼボランチに引いたりとかしてて、最前線ではないっすね。ちょっと下がりながらプレーしています」 ―若い時からは想像つかないですね。 「ですね。若い頃はゴールしか見てなくて、プルアウェイしまくってて、シュートを決めるか決めないかの世界でずっと生きてて。で、FuturoのU-18で指導者も始めているんですけど、そうすると後ろから全体の動きをすごく考えるようになったんですよ。フォワードでプレーしていると前にいるので、後ろを見て、いやそこもっと顔出せよとかめっちゃ思うようになって。自分がボランチに落ちて、指示も出してという形に変わってきました」 ―ボランチとしての自分が”フォワード森本”を求めたりしない? 「そこまでの何かエゴイスティックな感じは、なんかもう、削れましたね。20歳のときみたいなスピードとかパワーもないなって感じるから、後ろから全体を見た方がおもしろいなって」