ネオシンガーソングライターSGが目指すもの「人が生きていくためのBGMになりたい」
シンガーソングライターSG(エスジー)が11月25日に「僕らまた (吹奏楽ver.)」をリリースする。 彼が2021年にリリースした「僕らまた」は「10代が選ぶ卒業ソング2024」、「小学生に刺さった友情ソングランキング」などにランクインし、新たな卒業ソングとして若い世代に愛されている。 カロリーメイトのCMソング起用を記念して、花咲徳栄高等学校吹奏楽部協力のもと、青春を彩る楽曲として進化した「僕らまた」。SGに吹奏楽バージョンの楽曲へのこだわりや自身のルーツについて訊いた。 【全ての写真】SGの撮り下ろしカット
学生たちの演奏を聴いたときに思わず涙が出た
――2021年リリースの「僕らまた」。今のSGさんにとってどういった存在の楽曲になっていますか? 自分の名刺のような曲になっているなと思っていて。物理的にも、精神的にも自分を存在させてくれてる曲ですね。 ――今回、吹奏楽バージョンをリリースするに至った経緯はどういったものがあるのでしょうか。 以前、「僕らまた」のピアノバージョンをリリースしたことがあるんですけど、この曲って、いろんなバージョンで、いろんな解釈で、愛していただける曲なんだなと手応えがありました。 吹奏楽にしろ、合唱にしろ、学生のみなさんと何かをやりたいな、と思っていたんですけど、スタッフチームに相談したら二つ返事で「やりましょう!」ということになって。これは作るしかないな、と。 ――学生のみなさんの演奏を聴かれたときの印象はいかがでしたか? レコーディングの現場にもいたんですけど、最初に通しで演奏するのを聴いたときに涙が出ちゃいました。それぞれのパートをひとりひとりがどんな気持ちで練習して、この日を迎えたんだろう、って。最初の音鳴らしだったので、みんな緊張してちょっと間違えたりもするんですよ。そこさえも愛おしくて、泣けてきた、というのはありましたね。この吹奏楽バージョンは本当にみなさんが感動できるものになるんだろうな、とその時に確信しました。 ――お話もされたんですか? もちろん! ご飯休憩のときに学生の皆さんの控え室にカメラマンさんと一緒に行って……学生からすると、何て言ったらいいんだろ……接しづらい存在になりかねないじゃないですか。アーティストっていうのもそうだし、いかに先生っぽくならないようにしようかな、もうちょっとフレンドリーになったらいけるのかな、っていろいろ考えましたね。 で、話しかけてみたらみんな思った以上に親しんでくれて、みんなで写真撮ったりして。 ――MVはどういったものになりそうですか? 今回は、「僕らまた (吹奏楽 ver.)」の制作の過程が凝縮されたMVになっています。実際に演奏している生徒さんの主観の絵があったり、レコーディングの合間に一緒に撮った写真があったり、青春が溢れる作品になっています。 それぞれの練習風景や見てきた景色が合わさったときに、それを最後に俯瞰して観て感動するようなものにしたいね、っていうふうな話をしました。この演出は、「僕らまた」で表現している「それぞれの道」にも合ってるのかな、と思っています。 ――そんな吹奏楽ver.がカロリーメイトのCMに。 どう言葉にしたらいいのか分からないくらい、びっくりしましたね。いいの?って。すごく嬉しかったです。 ――毎年、受験の時期のカロリーメイトのCMは年齢問わず刺さるものがありますもんね。 そこに音楽で寄り添えることができるのは感慨深いですし、みなさんにちゃんと気持ちを届けられたらいいなと思っています。 ――「僕らまた」は「小学生に刺さった友情ソングランキング」、「10代が選ぶ卒業ソングランキング2024」などにランクインしています。この世代に刺さった理由って、ご自身ではどういったところだと思われますか? これは言ったらね、2人目が出てくるかもしれないので、企業秘密で、なんて(笑)。 僕ならではの考え方なんですけど、最初にこの曲を作ったときに卒業ソングになってほしいな、とは思っていたんですよ。ただ、あとから気づいたことなんですけど、今までの卒業ソングっていうのは、意外と、先生から生徒に向けた目線のような、教えを伝えるような歌詞が多いんです。それがすごく刺さって感動するんですが、「僕らまた」の場合は、隣にいる友達に向けて、気楽に歌ってるんですよね。だからこそ、実際に吹奏楽部の友達同士で、等身大で、みんなで一緒に作ることに意味があるというか。 ――やはりZ世代の方に響くものが多いのかなと思うんですけど、その点についてはいかがですか。 ほんっとに自分では考えたことがなくて。 Z世代に届けたいな、とはもちろん思っていたんですけど。ただ、Z世代のコメントから逆に気づかせてもらったことがあります。Z世代って「別れ」をいい意味で重く捉えていないんですよね、別れについて「永遠の別れ」みたいに思っていない。遠くにいても、人生のフェーズごとに濃淡があっても、ずっとSNSで繋がっているから。「僕らまた」には僕にとっての「別れ」の解釈が詰まっているんですけど、それがZ世代の感覚と偶然合ったみたいです。