Go Toキャンペーン、なぜ「東京だけ」対象外? 西村担当相と尾身会長が説明
政府が22日からスタートさせる観光支援事業「Go Toキャンペーン」は、東京都発着の旅行を対象外とすることが16日夜、決まった。この方針が了承された政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会後の会見で、西村康稔経済再生担当相は、首都圏の3県や大阪府と比較して、東京都は人口10万人当たりの感染者数や陽性率が高いと説明。「首都圏も東京から感染が広がっている」と東京を外した理由を述べた。 【動画】GoToは「東京対象外」 コロナ分科会後に西村担当相と尾身会長が会見
東京の感染者数は「他と明らかに違う」
予定より1時間以上、遅れて始まった分科会後の記者会見。西村氏は冒頭、Go Toキャンペーンの対象から東京を除外することを明らかにした。「東京が目的となっている旅行は、都内の旅行も含めて対象外とする。割引の支援を行わない。東京都に居住する方の旅行も同様に対象外とすることで了解いただいた」 その理由として、西村氏は東京都でこのところ感染が急拡大する状況を挙げ、東京都と首都圏の神奈川、埼玉、千葉の3県、そして大阪府の感染状況の数値を比較してみせた。 東京都では8日連続で3桁の感染者数が続いており、16日には過去最多の286人の感染が新たに確認された。人口10万人当たりの感染者数(7月14日までの1週間)でみても、他府県が1~3人台であるのに対し東京が8.735人と「圧倒的に多い」(西村氏)。PCR検査の陽性率(7月12日までの1週間)も、神奈川県の3.3%、埼玉県の3.0%、千葉県の2.5%、大阪府の3.5%と比べ、東京都は5.4%と高い数値になっている。 専門家からは「首都圏も東京から感染が広がっているという評価をいただいている」と述べ、東京を対象外とすることで了解を得たとした。 一方で、4月に発出された政府の緊急事態宣言を解除する際は、「首都圏は一体である」として、1都3県が同時に解除された経緯がある。またここ数日は、東京以外の首都圏や大阪府などの都市部でも、宣言解除後で最多の感染者を記録する府県が出るなど、感染は東京以外にも広がりを見せつつある。会見では記者から「緊急事態宣言解除の時は関東は一体だと説明していた。今回はなぜ東京だけが対象なのか」との質問が出た。 それに対し、分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は、西村氏と同様の見解を繰り返し、「東京の感染者数は明らかに他(府県)とは違う」と述べた。 「今回の東京の感染は『接待を伴う飲食店』、ここが感染拡大の1つのスポットになったと見ている。そこから感染者が出て、周辺に行って、関係者が他の県に行った。疫学的にも遺伝子学的にもそのことが分かってきている」 そして感染は「東京を中心に起きている」とし、「どこかで線引をしないといけない。東京を例外としたのは合理的な判断だと思う」との見解を示した。