予選突破した不調の“侍短距離陣”は400mリレーで巻き返し金メダルを獲得することができるのか…“本命”米国予選落ちで混戦模様
今季は大きな盛り上がりを見せてきた男子短距離陣だが、東京五輪では“沈黙”が続いていた。男子100mは多田修平(住友電工)、山縣亮太(セイコー)、小池祐貴(住友電工)が予選で敗退。男子200mも山下潤(ANA)、飯塚翔太(ミズノ)、サニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が予選で落選した。 日本の男子短距離陣は誰ひとり期待以上の走りをすることができずに個人種目を終えた。それでも希望を失わずに臨んだ男子4×100mリレー予選(5日・新国立競技場)で1組の3位に食い込み決勝進出を決めた。“流れ”が変わり始めたようだ。
バトンの確実性を重視して予選突破
1組に登場した日本は1走・多田が上々のスタートを切るも、2走・山縣は内側の英国・ヒューズに迫られる。バトンパスも少し詰まったが、リレー要員として選出された桐生祥秀(日本生命)が好走。ジャマイカ、英国に続いてアンカーにバトンをつなげる。最後は4走・小池が3番を保ち、ゴールに飛び込んだ。 ジャマイカが37秒82で1着、英国が38秒02で2着。日本は38秒16で3着に入り、着順で決勝進出を決めた。なお4着のフランスとは0.02秒差だった。レースを走った4人は以下のようにコメントしている。 「個人種目はすごく悔しい思いをしたので、『予選からいいタイムで走るぞ』という気持ちで自分のレーンに集中して、山縣さんを目掛けて走りました。予選が一番緊張するんですけど、走り終えてリレーの感覚がよみがえってきましたね。決勝は自信をもって挑めると思うので、もっと攻めたバトンパスといい走りをして金メダルを目指したい」(多田) 「リレーは1本目だったので、どうなるかなというところはあったんですけど、走って気持ちが楽になりました。今日のバトンパスはお互いが『安心して出られるように』というところで最後の調整をやりました。明日はもうちょっと攻めていけると思う。個人的には走りを改善しないといけないなと思うところがあるので、そのあたりも修正していきたいです」(山縣) 「大会の雰囲気がわからなかったので、まずは1本走れたのが大きな収穫かなと思います。予選は安全バトンでいきましたが、決勝は攻めのバトンをすることができます。順位を考えると明日は外側の8か9レーンになると思うので、相手を気にせずに走ることができる。そこをプラスに考えて臨みたいですね。今日と明日では僕も、海外の選手もコンディションは全然違うと思う。しっかり1本に集中していきたい」(桐生) 「桐生だけを見て、落ち着いて出ました。バトンはある程度うまくいって、自分の走りもできたかなと思います。風も考慮して、今日のバトンは一番長い距離でやる練習よりも足長を1足分縮めました。決勝は後ろ(1~3走)の選手たちを信じて、余計なことは考えずに、夢中になって走れればいいなと思っています」(小池) 日本はバトンパスの確実性を重視して、予選を駆け抜けた。これは近年の世界大会と同じ戦略だ。そのなかで「38秒16の3着」という結果は正直、「好成績」とは言い難い。