俳優・佐津川愛美が「映画を作る人たちのインタビュー」をして気づいたこと
取材申請も自ら中心になって
そう佐津川さんが語るように、著書『みんなで映画をつくってます』は、監督、プロデュ―サー、助監督、ヘアメイク、音響効果など、映画にまつわる仕事をしている19人のインタビューで構成されている。人選はどのように行ったのだろうか。 「知り合いにお願いしたり、知り合いを通して紹介してもらったりとさまざまです。私たち俳優の仕事は現場が主体ですが、編集以降の作業をされている方とは、直接、接点がありません。そういったお仕事の方は、知り合いを通して紹介してもらいました。撮影監督が照明を指名することが多いとか、映像を撮るだけでなく、編集にも携わっているんだとかいろいろ聞かせて頂きました。 とくに現場のお仕事に関しては、同世代の方の話を聞きたいという思いもあって、たとえば、撮影部門は、同じ年の今村圭佑さんに取材を依頼しました。監督は女性の方に、また脚本も書いている方にお願いしたくて、大好きな大九明子さんに声をかけさせて頂きました。映画祭のカテゴリーで取材させてもらった小林恵さんは昨年、パリで知り合った方。昨年12月、主演を務めた『毒娘』(内藤瑛亮監督)が、フランスで行われている現代日本映画祭『KINOTAYO(キノタヨ)映画祭』に招待されるとのことで渡仏した際にお世話になりました。とても素敵な方で、ぜひお話を聞いてみたいと、私から直接お願いしました。 20周年ということで、20人の方にお話を伺おうと始めた企画ですが、本に登場するのは19人です。20人目は俳優部に所属する私、というイメージです」 取材申請も佐津川さんが中心になって進めていったという。 「私たち俳優は取材をされる側。いつもとは勝手が違い、戸惑うこともありました。まず、取材させてもらう方には、この本に込めた思いを書いた手紙と、伺いたいこともまとめたものを事前にお送りしました。編集の方からは、『佐津川さんの聞きたいことを聞けばいいんですよ』と言ってもらいましたが、最初の取材はぜんぜんうまく話すことができなくて。 原稿をまとめていただく、ライターの方にも同席してもらっていたので、1回目の取材終了後、音声を聞きなおして、ライターさんはどんなタイミングでどんな聞き方をしているか、自分なりに分析したんです。しっかり下準備をして臨んだ2回目の取材は、とても楽しくお話を聞くことができました。インタビュアーの方が、いろいろな準備をして、取材に臨んでくださっているということを、逆の立場を体験して初めて気づきました」