無痛分娩を経験して知った「激痛」と「無痛分娩で産むと言ってはいけない」という圧力
初めての無痛分娩体験
先日、第3子となる男の子を出産しました。1人目の出産は、あおむけに寝た姿勢で行う一般的な普通分娩。2人目の出産は、楽な姿勢を取りながら出産するフリースタイル分娩でした。3人目の今回は、麻酔で出産時の痛みを軽減する「無痛分娩」を選びました。 3人目にして無痛分娩を選んだ理由は、2度の出産経験を経て「もう陣痛に耐える体力も気力も乏しい」というのが正直なところでした。 1人目の出産は、右も左も分からず、ただ言われるがまま。人生で初めて経験するあまりにも耐え難い痛みで、気づいたら出産が終わっていました。 もっと自分の意思で主体的に産みたいと思い、2人目の出産ではフリースタイル分娩を選びましたが、14時間にわたる痛みと苦しみで生死をさまよった感覚になり、体力の消耗が著しく、これは私には二度とできないと感じました。 もちろん、どんな出産であろうとも、希望や感動の感覚、命との向き合い方に変わりはないものの、37歳になって迎える3人目の出産は、体力的にも精神的にもこれまでの出産と同様の痛みに耐えられる自信がありませんでした。そこで、今回の出産は、妊娠が分かった時から無痛分娩にしようと決めていました。 今回は、予定日ぴったりの深夜に陣痛が始まり、病院に向かいました。過去の経験で痛みにも慣れていたせいか、「まだ大丈夫だろう」と少し軽食を口にする余裕もありました。 病院に到着すると、陣痛の痛みが強くなりましたが、すぐに麻酔科医が準備を進めてくれました。背中に麻酔を入れるときは少し緊張しましたが、麻酔が効き始めるとあの強烈な陣痛の痛みがうそのように和らぎました。立ち会っていた夫と普通に会話することもでき、リラックスして眠ってしまいそうなほどでした。圧迫感やいきみの感覚はありましたが、「痛み」という苦しみがないだけで、これほど余裕を持てるものなのかと驚きました。 明け方になっていよいよというタイミングになって、長女と長男が病院に到着。助産師さんが赤ちゃんについてお話をしてくれて、子どもたち2人が真剣に学んでいる様子を眺めていました。 さて、ここからが想定外。生まれるタイミングになってまさかの「激痛」が! 「麻酔が効かなくなったのか、めっちゃ痛いんですけど!!!」 医師と助産師さんにそう訴えても、痛みの減少具合には個人差があり、「出すときは痛い」とのこと。「まぢかー!!!」と叫びながら産みました。 これまでの2回の出産は「陣痛」があまりにも絶望的な痛みだったので、実際に「出す」ときには、もはや何も感じていないような状態でした。無痛分娩で陣痛の痛みは緩和されたものの、「出す」時の痛みがこんなにもあったのか……と新たな経験をしました。 分娩は過去の2回よりも短い6時間程度。体力をそれほど消耗せず、リラックスした気分で赤ちゃんを迎えられたことは、これまでとはまた違った感動的な時間でした。