無痛分娩を経験して知った「激痛」と「無痛分娩で産むと言ってはいけない」という圧力
無痛分娩を選んで良かったこと
無痛分娩を振り返ってみて、これまでの2回の分娩と比較して、次のような点で良かったと感じました。 〈1〉陣痛によるストレスが大幅に軽減された 過去2回の出産では、陣痛中に「もう無理!」「命が持たない!」と何度も思いましたが、今回はそんなことは一度もなく、冷静に出産へ向かっていけました。 〈2〉産後に体力が残っていた 無痛分娩のおかげで体力を消耗せず、産後すぐに赤ちゃんの抱っこやお世話をする余裕がありました。ご飯ももりもり食べることができました。体力が残っていることで心身のゆとりができて本当に助かりました。 〈3〉家族と出産の時間を共有できた 痛みで意識がもうろうとすることがなかったため、夫や子どもたちと落ち着いて会話をしながら新しい命を迎えられました。過去の2回は、生死をさまようかのようにもがき苦しんでいる私の姿に、立ち会っていた夫は「何もできないし、何が正解かも分からない」と戸惑うばかりで、話しかけることも、写真を撮ることもできませんでした。 でも、今回はゆったりと会話を交わし、喉が渇いたらお水を差し出してくれ、写真を撮りながら、家族の大切な思い出になる時間を刻んでいきました。なによりも、子どもたちが、興味深そうに命について学ぶ様子を見守ることができました。 私にとっては良い経験ができた無痛分娩ですが、誤解はまだまだ多くあります。私自身も親族や知人に「無痛分娩で産む」と話すと、「麻酔なんて危険だ」「後遺症がひどくなる」「自然が一番」「3回目だから痛みも我慢できるでしょ」などと言われました。そのため、「無痛分娩で産む」ということは、周囲に「言ってはいけないこと」のような社会的プレッシャーさえ感じました。 そもそも、無痛分娩に限らず、お産に「100%安全」なんていうことはあり得ません。無痛分娩は世界各国で広く行われていますが、確かに、副作用や危険性が全くないわけではありません。例えば、一時的な足の感覚の鈍さ、一時的な低血圧、一時的な皮膚のかゆみなどの副作用があると言われています。私の場合は、「一時的な皮膚のかゆみ」があり、出産途中から背中がひどいかゆみに襲われました。 また、麻酔薬が背骨周辺の異なる部位に入ってしまうなど、頻度はかなり低いものの、「まれに起こる重大な副作用」のリスクもないわけではありません。そのため、すぐに対処してもらえる態勢が整っている病院を選ぶことも大切です。 このように、どんなスタイルの出産方法であれ、メリットもデメリットも両方ありますが、妊婦がそれぞれ、自身の体力や家族の事情、医療環境などを考えて、「自分に合ったもの」を選ぶことが大切だと思います。私は、今回の自分が置かれた状況では、無痛分娩を選んで良かったと心から思えました。 どれが「正解」ということはありません。誰かと比べる必要性もありません。これから出産を迎える女性たちが、医師や助産師さんと相談しながら、自分に合った方法を選択できますように。(起業家 小林味愛)