「カリマー」のリュックサック「コントア27」の無段階調節で得られるフィット感とは?
およそ50年前の1975年、女性で初めてエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんが使用したリュックサックは「カリマー(karrimor)」の製品だった。近代登山の発展に大きく貢献した「カリマー」は1983年に「SAシステム」というテクノロジーで世界に衝撃を与えた。 最近まで大型リュックサックのみに採用されてきたこのシステムが、ついに今年、低山歩きにも対応するサイズの「コントア27(contour27)」に搭載された。 これは画期的なことだ。大げさではなく、ハイキングやトレッキングの快適性が大きく向上するのではないだろうか? さっそくカリマーインターナショナル株式会社を訪れ、商品部プロダクトチームでリュックサックの開発を行う松永浩太さんに「SAシステム」と「コントア27」の優れた点を尋ねた。
背負ったまま「安定するポジション」をその都度、簡単に見つけることが可能!
「独自の『SAシステム』は1983年に『世界初のサイズ・アジャスト・システム』として発表された背面調整システムです。背面長(バック・レングス)が最適なリュックサックを選ぶことは非常に重要で、たとえば容量が同じでも背面長によってL、M、Sなどにサイズが分かれるほどです。 段階的に背面長でサイズを分けるより、全レンジをカバーする背面調整が可能な製品ならワンサイズで個々のユーザーにフィットしますね。『SAシステム』はそれを可能にする技術です。大型リュックサックに採用されてきたシステムで、重量のある荷物を背負って行動する際にフィット感が最も重要なので開発されました」
背面長の調整といえば、この他にリュックサックを下ろした状態で面ファスナーをはがして段階的に位置を合わせ、貼りなおして固定する製品や、成型パーツの着脱によって段階的に調整する製品もある。それらの場合は、リュックサックの上げ下ろしを繰り返しながら、どの段階が自分に合うか探ることになる。 「『カリマー』の『SAシステム』は無段階調整で、リュックサックを背負ったまま感覚的に最適な調整ができます。『コントア27』の場合、背面長の調整幅は41cmから50cmまで。緩めた状態でリュックサックを背負い、ヒップベルトの脇から出ているコードを引きます。ちょうどいいと感じるところでストップすれば調整完了です。 全体的な順序としては、多くのリュックサックの調整と同じく最初にヒップベルトの位置を合わせ、次にショルダーハーネスの長さを調節します。その後、両サイドのコード(サイズアジャストストラップ)を引いて背面長をフィットさせ、最後にチェストベルトを留めます」 推奨されるのは、リュックサックを下ろすときにショルダーハーネス、ヒップベルトなどフィット感に関係するストラップをすべて緩めておき、再び背負う際にまたフィットさせることだという。その習慣がないと面倒に思えるかもしれないが、フィットしたリュックサックで行動する快適さは何物にも代えがたい。