日本サッカー協会が秀岳館サッカー部の問題に”怒り”の本格介入を示唆…「憤りを感じる。しかるべきアクションを取る」
まずは当該コーチおよび段原前監督に対して、指導者としての処分を下す件だ。具体的にはJFAが発行する、公認指導者ライセンスの資格停止やはく奪となる。 懲罰案件はJFA内の裁定委員会や規律委員会マターとなり、これらの司法機関は独立していて、トップの田嶋幸三会長といえども介入できない。さらに前段として熊本県サッカー協会内の裁定委員会や規律委員会があり、一連の捜査の結果も関係してくる。 こうしたプロセスを理解した上で、裁定委員会や規律委員会から情報提供を求められたときには迅速に対応できる準備を整えていたと須原専務理事は明かした。 「熊本県サッカー協会としっかり連携を取りながら、そのなかでJFAの行政チームとしても状況を注視している、というスキームになる。なので、学校側へ(事情聴取に)に行ったときにも、熊本県サッカー協会の担当者と一緒でした」 次に新監督に指名された古参コーチを含めた、総勢13人の指導者体制で再出発する秀岳館高サッカー部の今後だ。部員数が200人を超える部内では、過去2年あまりの間に、部員同士による暴力行為が少なくとも13件確認されている。 そのなかには今年3月、入学前の中学3年生が寮内で上級生から暴力を振るわれ、入学式前に退寮および退部した件も含まれている。学校内で解決すべき諸問題の推移を見守りながら、6月3日に初戦が組まれているインターハイ熊本県予選などを含めて、JFAとして起こせるアクションの重要さを須原専務理事はこう語った。 「サッカー部の活動を継続させていく上で、われわれがどのような形で支援できるのか。これについても熊本県協会としっかり連携を取りながら、サッカーを楽しむ子どもたちの環境を守っていく上で、JFAとしてできることを考えていきたい」 最後は再発の防止であり、これには2つの側面が考えられる。 今回の問題は外部から遮断されたサッカー部の活動や寮内で、半ば常態化していた暴力に危機感を募らせた部員たちが、動画の撮影およびネット上への投稿を介してSOSを発信したのが発端だった。ミーティングでの段原前監督の音声をおそらく部員が録音し、外部へ流出させたのも、SNSを利用して自分たちを守る行為だった。 JFA内のコンプライアンス委員会のトップを務める須原専務理事は、秀岳館高のケースに「技術が発達しているデジタルを使ってはいけない、と申し上げるつもりはない」と断りを入れた上で、もしも同じような状況下にある子どもたちが他にいる場合に、JFAとして具体的な声を拾い上げていくための方策にも思いを馳せた。 「もしもそういう(暴力やハラスメントを受けている)ことがあれば、子どもたちは声をあげていいんです。それをどのようにすれば自分たちを守り、次へつなげられるのか。こういった点はわれわれももっと勉強した上で、ガイドラインやガイダンスとして出していくなど、前向きな方法を考えていきたい」