72歳男性が号泣…「突如この世を去った従兄弟」の悲しすぎる最期とは?彼を救った「優しい嘘」
私は葬祭コーディネーターとして、葬儀社で働く従業員の育成に努めています。そのため、一般の皆さまから葬儀費用などにまつわ る相談を受けることがあります。 今回の相談者は、杉山欽二さん(72歳、仮名=以下同)。前編記事〈「突如この世を去った従兄弟」の葬儀に、親しかった72歳男性が呼ばれなかった「本当のワケ」〉でも紹介したように、欽二さんは大好きだった従兄弟の庄太郎さん(75歳、仮名=以下同)の葬儀に呼ばれなかったことを、この3年間悔やんでおりました。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” しかし、甥の明彦さん(31歳、仮名=以下同)が密かに明かしてくれたところによると、庄太郎さんは晩年ギャンブルに手を染めた上、認知症になってしまい、最後は排水口に落ちて亡くなってしまったのだとか。そのような事情により、葬儀は近親者のみで内々に済まされたのです。しかも明彦さんの話には続きがあって……。 大切な人を亡くしたあと、どんなケアをすればいいのか。欽二さんの事例をもとに考えます。
「本当のことは伝えないでほしいのです」
ギャンブルにはまった上、認知症も発症し、最期は排水溝に落ちて事故死してしまった庄太郎さん。しかし彼の家族は、そんな状況で亡くなられた庄太郎さんを自業自得だとして、敬う気持ちをなくしていたようなのです。 「火葬をしてやるだけでもありがたいと思いなさい!」ということだったのか、庄太郎さんとのお別れは、火葬のみの見送りだったーー、明彦さんはそのような経緯を私に話してくれました。 「こんな話を伯父に話してしまうと、自分が引っ越したことを悔やんで、一生、詫びながら生きることになります。僕たちもどうしてやるのが良いのか悩んだのです。安部さんなら良い計らいをしてくださると思い、伯父を相談に行かせたのが本当のところです。 本当のことは伝えないでほしいのです。良き方向に納得させてやれたらと願っています。勝手ですが、よろしくお願いします」 とさらに事情を打ち明けてくれました。 それが明彦さんの話の内容でした。私は急ぎつつも、丁寧に頭を整理しました。欽二さんに、不審に感じ取られないようにという思いもありましたから。 明彦さんは、欽二さんに「少し様子見に寄ってみたところだったけど、伯父さん、気持ちが落ち着くように話を聞いてもらうんだよ」そう言って、また仕事に戻っていかれました。 さて、ここからは私がどう話していくかです。「何から順に」「どのように」話の流れをつくるのが良いか。この先、欽二さんが苦しまず、自分の人生を幸せに生きてくださることを願い、明彦さんの願いの通り、本当の話は避けて話し始めました。