72歳男性が号泣…「突如この世を去った従兄弟」の悲しすぎる最期とは?彼を救った「優しい嘘」
このままでは故人も悲しみ続ける
私はまず、二人の幸せだった日々を振り返るような話をしました。 欽二さんには、庄太郎さんとの電話では、楽しく幸せな気持ちで笑って話していらしたことを思い出していただきました。そして、庄太郎さんも欽二さんとの時間がたまらなく幸せだったと常日頃から話しておられたこと。欽二さんの存在を大切に想っていたことなど、明彦さんから聞いた話だとして伝えました。 そこで、楽しく幸せに過ごせた時期のことを思い出して、欽二さんが幸せな気持ちでこれからも歩んでくださらないと、向こうの世界に逝かれた庄太郎さんが、この先も悲しみ続けるのではないかと話してみました。 欽二さんは私の話を聞いてから、店内の床を見つめて考えるひとときがありました。そして、気持ちがまとまったかのように、うつむいていた顔を上げて「そうですね。私がこんなふうじゃ、いけませんね」と呟かれたあと、私を真っ直ぐに見つめられました。 ここが良いタイミングだと思って、次に欽二さんはなぜ葬儀に呼ばれなかったのか、言葉を選んで話し始めました。 「自分にもしものことがあったら、誰も呼ばないでくれないか。特に欽二は情の深いやつだから無理してでも、こようとするだろう。だから知らせないでくれ。欽二はわしにとって大切な存在だからな。欽二の安全が一番だから頼んだぞ。 葬式への行き来での事故が心配だ。それに年寄りが多いからな。遠いところからこさせなくていい。俺のために葬式にきて、事故にでも遭ったら大変なことだからな。だから、欽二もだが、誰も呼ばなくていい。いいか、誰にも知らせるなよ。 その分、欽二とは生きているうちに、電話で腹一杯話すから」 生前、庄太郎さんがそう話していた、と伝えました。 欽二さんは、「そうだったのか……、そうだったのか。庄太郎のバカヤロウ。そんな気をつかうなよ」そういって泣き続けていましたが、これまでの悔やんだ涙ではありませんでした。 お会いしたはじめのときとは全く違う、闇が消えたような表情になっていらしたのです。