再開J2で無観客ゆえの珍事!ジュビロ監督の指笛指示が「主審の笛と勘違いしかねない」と”禁止”…完敗に「影響はない」
無観客試合が生み出したJリーグ史上で初めてとなる“珍事”が、28日にサンガスタジアム by KYOCERAで行われた明治安田生命J2リーグ第2節、京都サンガF.C.対ジュビロ磐田で起こった。 ジュビロのブラジル人アタッカー、ルキアン・アラウージョを狙った縦パスが合わずにボールが左タッチラインを割った直後の、時計の針が前半39分から40分に差しかかろうとしたときだった。短いホイッスルを吹いて試合を一時的に止めた谷本涼主審が、ジュビロのベンチ前へ小走りで近づいていった。 村井良輔副審と小屋幸栄第4審判員までもが集まってきた、タッチライン際のテクニカルエリアにはジュビロのフェルナンド・フベロ監督がいる。いったい何が起こったのかと、ジュビロのコーチスタッフもベンチを飛び出してくる。谷本主審が問題視したのは、フベロ監督が何度も鳴らしていた指笛だった。 ジュビロのチームカラー、サックスブルーのマスクを着用した46歳のスペイン人指揮官は、前半開始早々の3分40秒すぎを皮切りに、13回もの指笛を選手たちに送っていた。マスクをちょっと下にずらし、両手の人差し指と中指をくわえて吹き鳴らす指笛は、スタジアム内の隅々まで響きわたる音量を伴っていた。 サンガボールのスローインになった場面で谷本主審が試合を中断させたのは、13回目の指笛が鳴り響いた約30秒後だった。プレーしている選手たちが主審の笛だと勘違いしかねないと、時間の経過とともに気になっていったのだろう。指笛の中止を要請する生々しいやり取りを、近くにあった集音マイクが拾っている。 「(指笛が)癖なのはわかるんですけど」 「いや、癖ではなく、我々の合図なんです」 コーチスタッフの一人が説明したように、フベロ監督が指笛を鳴らす場面は決まっていた。ジュビロがボールを保持するも横方向へのパスが多く、縦方向へのパスを入れる勇気を欠いているときに、選手たちを鼓舞するかのように指笛を響かせる。9分40秒すぎには3連発させて、リスクを冒せと檄を飛ばした。 試合はジュビロがボールを圧倒的に保持していた前半28分に、サンフレッチェ広島でプレーした2016シーズンに得点王を獲得しているサンガの新外国人、ピーター・ウタカが縦パスに抜け出して均衡を破っていた。いよいよ指笛を鳴らす頻度が高くなろうとしていた矢先に、混乱をきたすという理由でダメ出しされた。