再開J2で無観客ゆえの珍事!ジュビロ監督の指笛指示が「主審の笛と勘違いしかねない」と”禁止”…完敗に「影響はない」
ただ、段階的に観客を入れていく今後において、来場するファン・サポーターに禁止を要請する行為のなかに「歌など声を出しての応援や指笛」が明記されている。スタンドからの指笛が選手たちの勘違いを招くおそれがあるならば、より距離が近いテクニカルエリアからの指笛はリスクがさらに高まるだろう。 前例がないリモートマッチにおいて、臨機応変に下された谷本主審の決断を受け入れたフベロ監督にはこんな質問も飛んだ。指笛を鳴らせなくなった影響はあったのでしょうか、と。間髪入れずに「No, no, no(ノ、ノ、ノ)」と首を横に振った指揮官は毅然とした表情で、こんな言葉を紡いでいる。 「指笛を注意されたことで何かがあった、ということは特にありません」 後半開始早々にも再びウタカにゴールを許したジュビロは、ゴールを奪えないまま一敗地にまみれた。来夏に延期された東京五輪の男子代表チームを率いる森保一監督が視察に訪れたなか、エースストライカー候補として期待される小川航基もシュート数ゼロのまま後半27分にベンチへと退いた。 今シーズン限定で「3」から「5」に増えた交代枠をフル活用。攻撃陣の枚数を増やす攻撃的な采配を振るいながら、昇格を争うライバルのひとつになると予想されるサンガの實好礼忠新監督の初勝利を、そして今年1月に竣工したサンガスタジアムでの初勝利をダブルで献上した。それでもフベロ監督は胸を張る。 「無観客ということで、確かに普段とは違う雰囲気だった。それでも今日の敗戦を言い訳にしたくないし、するべきではない。京都も同じ状況で戦っている以上は、私たちがいい戦いをできなかったから負けた、というひと言に尽きる。リーグ戦はまだ40試合も残っている。私たちはもっと、もっと力を出せる。その点に関しては疑いようがないと信じているので、練習で成果をあげながらチームを建て直していきたい」 ひと足早く開幕したプロ野球でも、漏れ聞こえてくる実況中継の声が打者に次の投球コースを教えてしまう、と指摘されたことがあった。新型コロナウイルスに伴う無観客での開催が引き起こす、予期せぬ問題のひとつに指笛がもたらす紛らわしさを加えながら、次の週末にはいよいよJ1も待望の再開を迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)