経営危機のJ1サガン鳥栖社長が報酬月額100%返上を決めたワケ
経営再建中のサガン鳥栖を運営する株式会社サガン・ドリームスの竹原稔代表取締役社長が、今月から最低でも年内いっぱいの報酬月額を100%返上していくことが24日、明らかになった。 竹原社長は2018年8月以降の半年間でも、報酬月額を100%返上している。当時はサガン・ドリームスの幹部が準強制わいせつ容疑で逮捕された不祥事に伴う、監督者責任の不備に対する責任を負ったものだった。翻って今回は新型コロナウイルス禍が続くなかで、自らも身を削るべきだと判断した。 新型コロナウイルスの影響で2月下旬からすべての公式戦が中断されてきたJ1は、来月4日から無観客試合改めリモートマッチの形で再開する。現状では7月10日から5000人を、8月1日からは収容人員の50%をそれぞれ上限として、観客を順次動員していく青写真が描かれている。 しかし、いずれの場合でも「サガン鳥栖ドリームパスポート」と呼ばれる、シーズンチケットを購入しているファン・サポーターに、配席を含めて事前に告知していたサービスを提供していくことは難しい。社協議が積み重ねられた結果として、購入代金を払い戻していくことを決めた。 今月17日から約5600人の購入者全員へ案内文書を郵送し、同時に18日にはクラブの公式ウェブサイト上で詳細を告知した。その際に「返金対応」だけでなく、購入代金の全額をクラブへ寄付する「サガン鳥栖支援A」と50%を寄付する「サガン鳥栖支援B」を、購入者が選択できる形とした。 人数や金額の多寡にかかわらず、寄付にはこれからも応援していくサガン鳥栖というクラブに対する愛情やエールが込められている。クラブの運営資金へあてられていく今後において、2019年度決算で20億円を超える大赤字を計上した責任を負う、自分自身への報酬が支払われていく状況は好ましくないのではないか、と考えるに至ったと竹原社長は説明してくれた。 「サガン鳥栖の今後のために使ってほしい、という純粋な思いが寄付されるお金には込められていると受け止めています。サガン鳥栖ドリームパスポートを買われている、一番コアな存在であるファン・サポーターの方々へお願いするにあたって、寄付されるお金の使途のなかに経営責任者である私(への報酬)が入っていない方がいいのではないかと、心のなかでずっと考えてきました。新型コロナウイルスの影響があるからかまわない、という問題ではないと思えたんです」