女性の自閉症が爆発的に増えている、なぜ? 男性と異なる傾向とは 米大規模調査
見落とされがちな女性の自閉症
自閉スペクトラム症は、コミュニケーション、学習、行動における差異を特徴とする発達障害だ。 ASDを持つ人々は、興味の範囲が限られていたり、同じ行動を繰り返したりすることが多い。彼らはたとえば、電車に強い関心を抱いていたり、スポーツの統計を暗記していたり、非常に予測しやすい日課を持っていたりする。 また、他者が話した言葉やフレーズを繰り返す「エコラリア」や、特定のストレスが多い状況で話せなくなる「場面緘黙(かんもく)」など、コミュニケーションに困難を抱えていることが少なくない。 自閉症に見られるさまざまな症状を認識する研究者や臨床医の能力は格段に向上しているものの、見落とされている人たちもまだ多く存在する。 「平均して、女児や女性は診断を受けるまでにより長い時間がかかります」と、英ブリストル大学の研究員で、10代以降の自閉症の精神衛生と幸福に焦点を当てた研究を行っているローラ・ハル氏は言う。「女性は診断される年齢が高く、検査を受ける回数も多い傾向にあります」
なぜ女性は気づかれにくいのか
ハル氏が指摘するように、女児と女性が見落とされる理由のひとつには、彼女たちが短い会話や少しの間目を合わせるといった基本的な社交スキルに長けており、苦労するのは友人関係の構築や維持などの、より複雑な社会状況に限られている点が挙げられる。 女児や女性はまた、電車やコンピュータではなく、ポニーやファッションに夢中になるなど、自閉症に典型的には関連付けられない対象に特別な興味を抱くことがある。 自閉症の男児と女児の比率はこれまでずっと4対1とされてきた。だが、現在では多くの研究で、自閉症の女児や女性は、われわれが認識している以上に多いとされている。この事実は、自閉症が歴史的に男児を対象に研究されてきたせいだと多くの人が考えている。 カイザーさんは子どものころ、クラスにいた自閉症の男の子に引き付けられる気持ちがあったという。手をパタパタと動かしたり、上下に飛び跳ねたりといったその子の動きは、自分自身と非常によく似ていた。ところが、教師からは、あの子は自閉症であなたは違うのだから、そんな動きをしてはいけないと言われたという。 「わたしが子どもだったころには、自閉症と診断を受けるのは男子だけでした」とカイザーさんは言う。「わたしはいつもピョンピョン飛び跳ね、手をパタパタと動かしていましたが、そんなときにはすぐに、やめなさいと厳しく言われました」