活発化する火山活動 噴火予知はなぜ難しいのか?
前兆らしい変化示すことなく噴火
この草津白根山では2014年に湯釜周辺で火山性地震が増加し、山体の膨張を示す地殻変動が観測されたほか、いろいろな火山活動の活発化を示す兆候が現れていました。これらのことから、噴火警戒レベルが1から2に上げられ、火口周辺規制が敷かれました。しかし、これらの変化は次第に収まってしまい、2017年夏には噴火警戒レベルが1に引き下げられていました。その7か月後に噴火が起きてしまったのです。 噴火した南部はノーマークとはいっても、地震計や地殻変動の観測器がカバーする範囲には入っていました。このため、火山性地震や火山性微動、マグマが上がってきたことが分かる山体膨張は、例え南部の地下で起きていたとしても、十分感じられるはずだったのです。しかし、そのどれもが前兆らしい変化を示すことのないまま、噴火が始まってしまったのです。 しかも、やはり予告なしの御嶽山噴火の後、導入されたはずの「噴火速報」も出されませんでした。これは噴火してから登山者などに携帯メールで流す情報ですが、今回は噴火したという情報が気象庁に入ったのが遅く、出せなかったのです。
噴火したときの噴火警戒レベルは1でした。噴火警戒レベル1とは、かつて「平常」とされていたもので、2014年の御嶽山噴火の後に、表現だけ「活火山であることに留意」に変えられましたが、一般の人にとっては「規制は解除された。山頂まで行ってもいい安全宣言が出た」と思われても仕方がないのが、この噴火警戒レベル1ということでした。 この噴火警戒レベルは、科学的なものでも日本の火山に一般的に決められるものでもなく、経験とカンだけに頼って気象庁が出しているものです。あえて言えば、その上に観光で生きている地元への配慮という政治的な判断も入っています。幸い、噴火はしなかったものの、箱根で2016年の年末に噴火警戒レベルを下げたのも、政治的な判断と言えるでしょう。