柔道・野村忠宏が引退会見「豪快に1本負けしてスッキリ」
柔道・野村忠宏が引退会見「豪快に1本負けしてスッキリ」 THE PAGE大阪
前人未到の五輪柔道3連覇を果たし、29日に兵庫県尼崎市で行われた全日本実業個人選手権で現役を引退した野村忠宏(40=ミキハウス)の会見が31日午後、大阪市内のホテルで行われた。多くの報道陣が詰め掛ける中、野村は「最後負けてはしまいましたが、豪快にぶん投げられた40歳の柔道家に対して、激励のお言葉をかけてもらえたのは一番うれしい」と述べ、終始さわやかな笑顔を見せていた。
最後の大会で1本勝ちできたのは誇りに思う
同日午後1時から始まった会見にスーツ姿で現れた野村。冒頭のあいさつでは「最後の試合は1回戦、2回戦、自分を育ててくれた1本勝ちでしたが、最後の3回戦は豪快にぶん投げられました。今までの戦いも1本勝ち、最後の大会で1本勝ちできたのは誇りに思う」と述べた。 また、負けた時の気持ちにも触れ「豪快に1本負けしてすっきりいたしました。寝そべってすぐに立つことができなかったんですけど、うまく投げられた瞬間、豪快に投げられたなあというのが頭をよぎり、これで真剣勝負の戦いが終わったんだなあと少し寂しい気持ちにもなりました」と続けた。 「最後の試合を終え、いまこの場にいる気持ちは?」という質問には「優勝報告というのは何回もさせて頂いたんですが、引退会見は始めてのことなんで、ちょっと不思議な気持ちというか、ちゃんとしなきゃいけないなあという感じです」と、野村らしい明るい笑顔を見せながら笑いを取る場面もあった。 そして「多少ピリッとした気持ちなんですけど、試合が終わって短い時間ですけど、仲間と時間をすごし、家族とすごし、ちょっとふぬけになってます。柔道のことって考えるし、ああ、もう自分がピリピリした真剣勝負の場に立つことがないんだと思ったらすごい寂しいなぁと思いますけど、自分がやれることは精一杯やってきたし、後悔というものはないですね」と続けた。
オリンピックにかかわっていければ
報道陣から出た「将来のビジョンは?」という問いには「3歳から37年間柔道と向き合ってきました。弱かった子供時代、夢を持って努力し続けた少年時代。大学で細川先生に出会ってチャンピオンに育ててもらってチャンピオンとして戦った最強の時代。3連覇して、それでも柔道を続けたいと苦しみ続けた時代、柔道を通していろんな経験をしたし、いろいろ乗り越えてきた。これから若い選手、世界を目指す選手らに技術を含めて伝えていきたいし、心の中に柔道が大好き、柔道への愛、楽しさ。これは自分のじいちゃんに教わったものなんで、子供たちには柔道のすばらしさというものを伝えていきたいなあと思ってます」と述べた。 そして「自分をひとまわり、ふたまわり以上、自分を成長させてくれたオリンピック、5年後には東京でオリンピックがあって、選手としてはもう出れないが、オリンピックにかかわっていければと思います」と2020年の東京五輪への思いも触れていた。