宇宙飛行士・野口聡一さんが帰国会見(全文2)ゴルフにツアープロとレッスンプロがあるように
出会いと外とのつながりの中で今後明らかに
で、無重力、そして船外活動のような経験を通して、まずは人間っていうのは何をもって安定していくのかと。重力がないところで、あるいは外の景色が見えないようなところで、じゃあわれわれは何をもって安定っていうことを定義するというか、体の芯から安心しているかっていうのは結構大変な命題で、その辺りを1個1個回数を深める中で、こういうことなんじゃないかっていうのを少しずつ理解を深めている。 そういう意味では今回、3回目の宇宙体験、あるいは4回目の船外活動で何を得られたかっていうと、まだ自問自答しているところもあって、これは少しずつ、自分だけではなく、特に立花先生の場合には対話を通してそれを明らかにしていっていただいていたわけですけども、そのような出会いと外とのつながりの中で、今後明らかになるといいんじゃないかなと思いますね。ありがとうございます。 毎日新聞:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。それでは、じゃあ2巡目の方も、どうぞ。
職業宇宙飛行士はどういう仕事だと思ったのか
東京新聞:東京新聞の【マツイ 00:41:39】といいます。 野口:よろしくお願いします。 東京新聞:冒頭のごあいさつで、今、地球ではコロナウイルスや災害があって、経済状況も含めて大変な思いをしている人がいて、支援があって初めて成り立っているとおっしゃったと思うんですけども、その3回の宇宙での任務を終えて、あらためて職業宇宙飛行士はどういう仕事だと思ったのか、命を懸けていることは変わらないと思うんですけど、3回の経験を通して、こういう職業だということを伝えたいっていうのはあったらお願いします。 野口:なるほどね、分かりました。そうですね、宇宙に出ること自体が危険な空間に出るっていうのは間違いないと思います。で、ロケットに乗る、特に固体ロケットに乗るっていうのは非常に危険なことなので、固体ロケットに乗る、で、真空の宇宙に出ていく、そして、その宇宙から帰ってくる、まさに宇宙からどのように安全に帰還するか。マッハ25で入ってきて3,000度の熱にさらされて、降りた先が地面なのか海なのか、そこでそれぞれまた危険な状況があるので、やはりそれを1個1個クリアしていくっていうことは間違いなく非常に危険な作業であると。そこに自分の身を投じるのがこの仕事の本質ではあると思いますけど、それと同時にやはり、今日もJAXAの仲間がいっぱい来てサポートしてくれていますけども、非常に多くの仲間と一緒に乗り切っていく、そういう仕事でもあると思います。 今、宇宙にいる星出さんのキャッチフレーズの「夢は、実現できる」っていうのがありますけど、あれは星出さんの夢を実現してるんじゃなくてチームの夢、ひいては日本の夢を実現しているのであって、星出さんは頑張ってますよ、間違いなく星出さん頑張ってるんですけど、星出さんが言ってる夢っていうのは、まさにみんなの夢を実現するという作業に関わるっていうのが、われわれの仕事の本質だと思っています。そういう意味では本当にJAXAの皆さんも素晴らしい仕事をしたと思いますし、その成果として例えば3回目の長期滞在とか4回目の船外活動とかね。 あとは今回、図らずも世界新記録を2つつくって、ギネスから2つ賞状をいただいて。この前テレビでも見せましたけど。そういう意味ではギネスからも、外部からもちゃんと認定してもらえるような、そういうミッションが成功したっていうのは本当にオールJAXA、オールジャパンの勝利だと思います。ですから、そういうところにチームとして関われたのは本当に幸せなことだったなと思います。 司会:ありがとうございます。では次の方、どうぞ。 【書き起こし】宇宙飛行士・野口聡一さんが帰国会見 全文3に続く