第164回直木賞受賞会見(全文)西條奈加さん「毎作なんらかの形で挑戦していけたら」
現代的になり過ぎないよう工夫することは?
ニコニコ動画:ご受賞おめでとうございます。 西條:ありがとうございます。 ニコニコ動画:ニコニコ動画のタカハタと申します。恒例の質問なんですけれども、ニコニコ動画はご存じでしょうか。 西條:はい。存じてます。 ニコニコ動画:ありがとうございます。ではユーザーからの質問を代わりに代読しますのでお答えいただければと思います。富山県、40代女性からのご質問です。時代小説をたくさん読んでいるわけではないのですが、女性の振る舞いなどが古くさくないと思いました。4話目の母と息子の話は、テーマが現代的だとすら思いました。時代小説の難しい部分だと思いますが、逆に現代的になり過ぎないように工夫することなどはあるのでしょうか。 西條:人物造形については、やっぱり今の現代を生きている私が書くものであり、あと、読者も現在生きている人たちが読んでくださるので、それはやっぱり自分で納得のいかない女性像・男性像を書いてしまうと、読者の皆さま、ちょっと首をかしげてしまうかなと思いますので、どちらかというと、もう現代に通じる形の人物造形を行っています。 ニコニコ動画:ありがとうございます。
読者の存在を前より意識して考えるように
司会:ありがとうございます。ご質問ある方、いらっしゃいましょうか。最後の質問とさせていただきますが、どなたか。よろしいでしょうか。それでは西條さん、最後に一言、あらためておっしゃりたいこと等ございましたらお願いできましょうか。 西條:今、本当にこういう大変な状況になって、私の生活そのものは家で原稿を執筆するだけですのでそれほど大きくは変わらないんですけれども、こういう状況になって初めて、なんて言うか、読者の存在をより身近にというか、前よりも意識して考えるようになりまして、本当に読者に読んでもらって初めて小説というのは完成するものではないかなという意識が非常に強くなりました。この場を借りて、読者の皆さまにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 司会:西條さん、ありがとうございました。では、これにて、じゃあ記者会見のほうを終了させていただきます。どうぞ、お降りください。コロナ禍、本当に厳しい状況の中で、記者会見、来ていただいて、また、こちらもいろいろ規制等も含めてご迷惑をお掛けしました。ご協力いただきありがとうございました。これにて記者会見のほうを終了させていただきます。皆さま、ありがとうございました。 (完)【書き起こし】第164回直木賞受賞会見